CALM TOKYO開業ロードマップ
PHASE 1STEP 02資金調達›

まつげサロンの開業資金
いくら「かかるか」より
いくら「抑えられるか」

私は600万円かけました。
でも正直に言うと、もっと安くできたと思っています。

アイリストさん

お店を出すのって、結局いくらあればいいんですか?

調べてみたら、300万円って書いてある記事も、1,500万円って書いてある記事もあって……もう、どれを信じたらいいのか分からなくて。

阿部

どちらも嘘ではないんですよ。開き方によって、本当にそれくらい変わります。

先に、私の話をします。私は600万円かけました。恵比寿のマンションの一室で、半個室のつくりにしています。

600万円……やっぱり、それくらいはかかるんですね。

いえ。ここが今日いちばん伝えたいところなんですが、

私は、もっと安くできたと思っています。

1名ではじめるなら、マンション型で100〜300万円くらいにおさまることも多いんです。私はそれを知らないまま進めてしまって、600万円になりました。

この記事でいちばん伝えたいこと

最初は、できるだけコストを抑えること。

大きく作るのは、お客様がついてからでも遅くありません。
逆に、最初に大きく作ってしまうと、戻せません。

この記事の内容

  1. 1名なら、100〜300万円ではじめられます
  2. 最小構成の中身
  3. 差がつくのは、ほぼ「内装」です
  4. 私が600万円になった理由
  5. 抑えられる費用と、抑えられない費用
  6. どの順番で、お金が出ていったか
  7. いちばん大事なのは「融資が先、契約が後」
  8. 自己資金は、いくら必要か
  9. 事業計画書では、どこに書くのか
  10. 1つずつ、深く書いた記事
  11. よくある質問
  12. まとめ

1名なら、100〜300万円ではじめられます

まつげサロンは、美容室にくらべて設備が軽いのが特徴です。シャンプー台も、大きな鏡も、給排水の工事も要りません。必要なのは、ベッドとライトと、施術する人の技術です。

だから、1名でマンションの一室からはじめるなら、100〜300万円くらいにおさまることが多いと思っています。もちろん、席数やエリア、どこまで作り込むかで変わります。

え、そんなに違うんですか。何が減るんでしょう?

内装工事です。ここを入れるか入れないかで、数百万円が動きます。

マンションの一室なら、もともと壁も床も照明もあります。カーテンや家具でしつらえて、最小限で済ませることもできるんです。

最小構成の中身

1名・マンション型・内装工事なしで組む場合、お金がかかるのはこのあたりです。金額は物件やお店の作り方で変わるので、幅で書きます。

物件の初期費用敷金・礼金・仲介手数料・前払家賃・保証会社。ここが最小構成でもいちばん大きい塊になりがちです。家賃の4〜6ヶ月分くらいを見ておくと安心です。
美容器具・家具ベッド、ライト、拡大鏡、ワゴン、スツール、収納。数十万円台からそろえられます。中古やレンタルという手もあります。
開業時の材料薬剤、ロッド、ツール、消耗品。最初にまとめて仕入れる分です。数十万円台をみておくと動きやすいです。
予約・決済まわり予約システム、キャッシュレス決済、名刺やショップカード。月額のものが多いので、初期はそこまで大きくなりません。
集客の初期費用掲載媒体、SNS、写真。ここはいくらでもかけられるし、いくらでも抑えられる部分です。最初から全部やらなくて大丈夫です。
運転資金開いてすぐは、売上より支払いが先に来ます。数ヶ月分の家賃と生活費は、開業資金とは別に持っておいてください。

マンションの一室で開く場合、その部屋が営業に使える物件かどうかを先に確認してください。賃貸なら管理規約と貸主の許可、美容所としての要件は所轄の保健所に確認が必要です。ここを後回しにすると、契約してから開けないという事態になります。

差がつくのは、ほぼ「内装」です

同じまつげサロンでも、100万円台のお店と1,000万円台のお店があります。その差の大半は、内装工事です。

A 内装工事を入れない

マンションの一室を、家具・照明・カーテン・アートでしつらえる。壁も床もそのまま使う。
目安:100〜300万円
お客様がついてから、次の物件で作り込むこともできます。

B 最小限の造作を入れる

間仕切り、照明の入れ替え、クロスの張り替えなど、部分的に手を入れる。
目安:300〜600万円くらい
私はここに入ります。世界観は作れますが、金額はぐっと上がります。

C テナントをスケルトンから作る

路面や商業ビルの区画をゼロから設計する。
目安:1,000万円前後、あるいはそれ以上
席数を増やして人を雇う前提なら選択肢になりますが、1人目のスタートには重いです。

工事中 内装工事中のマンションの一室。床に養生シートが敷かれた状態
完成 間仕切りをつくって半個室にしたサロン内観
私の店です。もとは、ごく普通のマンションの一室でした。ここに間仕切りをつくって、半個室にしています。上でいうBにあたります。ここまでやらなくても、家具とカーテンで区切る方法もあります。

阿部さんは、Bだったんですね。

でも、思っていたよりお部屋っぽくないです。ちゃんとサロンに見えます。

ありがとうございます。ただ、正直に言うとこの見え方をつくっているのは、工事の金額ではありません。

間仕切りの位置、照明の高さ、床とカーテンの色をそろえたこと。お金より、決めごとのほうが効いています。

そして、ここまでは後からでもできました。最初は最小限で開けて、お客様がついてから整えるほうが、私は安全だと思います。

私が600万円になった理由

はい。正直にお話しします。理由は3つあります。

そして3つとも、「知らなかったから」です。

1

内装に手を入れた

世界観を作りたくて、部分的に工事を入れました。仕上がりには満足していますが、いちばん大きな差はここです。後からでもできたかもしれません。

2

最初から人を入れる前提で組んだ

求人媒体、給与の準備、労務まわり。人を雇うと、開ける前から費用が発生します。1人でスタートすれば、この塊はまるごと後ろに送れます。

3

集客を最初から厚く積んだ

掲載媒体、撮影、販促物。仕事柄これは効くと分かっていたので入れましたが、最小構成なら、ここは削れます。減らして始めて、売上が立ってから増やす順番もあります。

4

工事期間中の生活費

これは表に載りません。でも実際には出ていきます。工事が終わるまで売上はゼロ。期間が長いほど、この持ち出しがふくらみます。

4つ目、まったく計算に入れていませんでした……

私にとっても、ここがいちばん想定外でした。

数字の話というより、気持ちの話です。工事の進み具合を見に行く以外にやることがなくて、通帳の残高だけが減っていく時間。思っていたよりこたえましたよ。

だから、準備期間を短くすることも、立派なコスト削減なんです。

抑えられる費用と、抑えられない費用

ここが分かると、見積もりを見たときに「どこを相談すればいいか」が見えてきます。

内装工事いちばん抑えられる
集客・販促かなり抑えられる
求人・人にかかる費用後ろに送れる
家具・什器中古やレンタルで下げられる
美容器具あまり下げられない
材料・消耗品下げられない
物件の初期費用物件を変えるしかない
運転資金・生活費削ってはいけない
削る順番

1. まず内装を疑う。「これは今すぐ要るか?」を1項目ずつ

2. 次に集客と販促。最初から全チャネルをやらない

3. 人は、売上が立ってから

4. 運転資金と生活費は、ここだけは削らない。ここを削ると判断がにぶります

どの順番で、お金が出ていったか

私の実際の流れです。日付は目安として読んでくださいね。

いちばん大事なのは「融資が先、契約が後」

ここだけ覚えて帰ってください

融資が決まってから、物件を契約する。

逆にしてしまうと、融資が下りなかったときに、契約金と違約金だけが手元に残ります。

でも、いい物件って待ってくれないですよね……?

おっしゃるとおりです。良い部屋ほど、待っているあいだに他の方に決まります。

私がやったのは、申し込みと審査だけ先に通して、契約日を融資決定の後ろに置くという段取りでした。

不動産会社さんに「融資の結果が出るのがこの日なので、契約日をここにしてほしい」と、事情を話して相談しています。

そんなこと、お願いしてもいいんですか?

断られることもあると思います。でも、聞いてみる価値はありますよ。

相手も、契約したあとに飛ばれるほうが困りますから。言わないと、そもそも検討してもらえません。

融資が決まれば、もう安心ですか?

ここ、大事なところなので足しておきますね。

融資が「決まる」日と、お金が「入る」日は別です。そして物件の契約金は、お金が入る前に払います。

つまりこの期間は、手元の自分の現金だけで戦うことになります。私はここでいちばん怖い思いをしました。

物件の探し方、不動産屋さんに何を伝えるか、そして契約印を押す前にやっておいたことは、物件の記事に書きました。

自己資金は、いくら必要か

貯金がいくらあれば、動き出していいんでしょうか。

よく言われるのが「開業にかかるお金の5分の1くらいは自己資金で」という目安です。決まった基準ではありませんが、ひとつの目安にはなります。

ここでも、総額を小さく組めば、必要な自己資金も小さくなります。100〜300万円の構成なら、借りずに始められる方もいます。

そして、金額よりも「どうやって貯めたか」を見られている、というのが実感でした。

通帳に、積み上げた跡が見えるか毎月コツコツ貯めた記録は、そのまま「計画どおりに実行できる人かどうか」として読まれます。私たち夫婦は、開業の2年半前から積み立てていました。
毎月の支払いに、遅れがないか家賃、カード、公共料金。ここは通帳を見れば分かってしまう部分です。準備をはじめた時点から意識しておくと安心です。
生活の余裕資金が、別にあるか開業資金と生活費は分けて数えます。ここが混ざっていると、オープン直後にいちばん判断を誤ります。
住宅・車以外の借入が残っていないか残っていても開業できないわけではありません。ただ、把握しないまま面談に行くのはもったいないです。先に整理しておいてくださいね。

事業計画書では、どこに書くのか

ここまでの内容は、事業計画書のなかでは「初期費用&資金調達計画」の1ページにまとまります。私が実際に使った型は、表が2つです。

1

初期投資費用計画

費目/金額/合計/発注先・備考。「発注先」の欄を空けないこと。見積書がある費目と、まだ概算の費目が、ひと目で分かるようになります。

2

資金調達計画

調達先/金額/金利/月々の返済額/返済方法。自己資金と借入を、ここで並べます。

この2つの表で、いちばん見られるのは「合計が一致しているか」です。

ずれていると、面談で必ず聞かれます。逆に言えば、ここが合っているだけで「数字を作った人だ」と伝わります。

私も作成中に何度もずらしました。項目を足すたびに合計が動くんですよね。提出の直前に、もう一度足し算してください。

それから、これは作ってみて気づいたことなのですが、この表は「削るための道具」としても使えます。1行ずつ「これは今すぐ要るか、後でもいいか」を書き足していくと、総額がすっと下がります。

もうひとつ。表に書いた費目は、最後に「設備資金」と「運転資金」の2つに振り分けます。提出先の書式が、その2分割になっていることが多いからです。保証金や内装は設備、礼金や仲介手数料や前払家賃は運転。この振り分けは最初は迷います。迷ったら聞いてください。聞いて怒られる場所ではありません。

1つずつ、深く書いた記事

ここまでが、開業資金の全体像です。ただ、この記事は「いくらかかるか」までしか書けていません。

実際にお金を用意する段になると、止まるところが出てきます。私も止まりました。なので、場面ごとにそのとき何を見て、何をどう決めたかを、資料を開きながら書いていきます。

この記事の続き

資金調達のまわりを、1つずつ深く書いた記事です。順番に増やしていきます。

Aいちばん最初にやることコンセプトより前、物件より前。通帳は提出しますし、面談でいちばん聞かれたのもここでした。 B融資の申込みから、決定まで面談に用意した15点と、聞かれた5つ。そして正直に、私は借りすぎました。 C初期費用の組み立て方14項目に書き出して、2つに分けて、税を足す。計画から抜けた6つの費用も出します。 D初年度の収支シミュレーション月次で12ヶ月ぶん。計画と実績を並べます。崩したのは、人でした。

よくある質問

マンションの一室でも、まつげサロンは開けますか?

開かれている方は多いです。ただし、その部屋が営業に使えるかは物件ごとに違います。賃貸なら管理規約と貸主の許可、美容所としての要件は所轄の保健所への確認が必要です。契約する前に確認してください。

内装工事は、入れないとお店っぽくなりませんか?

照明、カーテン、家具、香り、音。工事をしなくても、印象はかなり変えられます。お客様が見ているのは工事の金額ではなく、居心地です。私も、いま作るならもっと工事を減らすと思います。

居抜きなら、安くなりますか?

内装の割合は下がります。ただ、器具・材料・運転資金は変わりません。前のお店の設備をどこまで使えるかで、結果はかなり変わります。

運転資金は、何ヶ月分みればいいですか?

私は開業後の経費の約2ヶ月分で組みました。これが正解というわけではありません。前職のお客様が来てくださる状況なのか、ゼロから集めるのかで、必要な厚みは変わります。不安なら厚くしておくほうが、後悔は少ないと思います。

最初から2席・3席で作ったほうが得ではないですか?

席を増やすと、内装も家賃も器具も増えます。そして席は、施術する人がいてはじめて売上になります。人が決まっていない段階で席を増やすのは、私はおすすめしません。まず1席で回して、埋まってきてから増やす順番のほうが安全です。

安く始めると、あとで作り直すことになりませんか?

なる可能性はあります。でも、そのときにはお客様がついていて、売上があります。その状態で作り込むほうが、何もない状態で借金して作り込むよりずっと安全です。

まとめ

持ち帰ってほしいこと

1. 1名・マンション型なら、100〜300万円ではじめられることも多いです

2. 差がつくのは、ほぼ内装工事

3. 私は600万円かけました。知らなかったからです。同じ道を通らないでください

4. 削る順番は、内装 → 集客 → 人。運転資金と生活費は削らない

5. 融資が決まってから、物件を契約する

6. 大きく作るのは、お客様がついてからでも遅くありません

思っていたより、手が届きそうな気がしてきました。

そう思ってもらえたら嬉しいです。

次は、この計画のいちばん重い費目である物件の話です。マンション型で探すときに、どこを見ればいいのかも書きました。

この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業した経験をもとに書いています。記載する金額はあくまで一例・目安で、物件・規模・作り方によって大きく変わります。物件を営業に使えるかどうかは物件ごとに異なるため、管理規約・貸主・所轄の保健所にご確認ください。融資の可否や条件については金融機関に、税務・労務の手続きについては税理士・社会保険労務士にご相談ください。

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阿部弘康

阿部 弘康

株式会社CALM TOKYO 代表取締役
恵比寿でまつげパーマ&眉毛アイブロウサロンを運営

美容業界18年。化粧品メーカーの営業、美容サロン専門の広告会社を経て、サロン専門のコンサルタントとして独立しました。集客に関する書籍を2冊出しています。
2025年、恵比寿に自分たちの店を開きました。技術は、表参道で17年やってきたアイリストの妻が。経営とマーケティングは私が見ています。人の店を見てきた側と、自分で開いた側。その両方から書いています。

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