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まつげサロン開業ロードマップ01 事業計画書この記事
PHASE 1STEP 01の詳しい記事

客数の根拠は
どう書くのか

「なんとなく」で置いた月130人。
実際は、月129人でした。

この記事の親事業計画書は、どう書くのか
アイリストさん

「月に何人来る予定ですか」と聞かれて、答えられませんでした。

まだ開いてもいないのに、そんなの分かるはずないですよね……。

阿部

分かりません。私も分かりませんでした。

だから手段ごとに行を分けて、1行ずつ根拠を書きました。合計で月130人。

その130人って、当たったんですか?

開業から3ヶ月の新規のお客様が、月平均129人でした。

差は1.3人です。

すごい……。よほど緻密に計算されたんですね。

いえ。正直に言うと、けっこう「なんとなく」です。

だから今日お伝えしたいのは、当てた話ではありません。なんとなくでも、行を分けて書いておけば形になるという話です。

それと最後に、いちばん言いたいことを書きます。読む方によっては、きつく聞こえるかもしれません。

この記事の内容

  1. 合計から書かない。行を分ける
  2. 実際に書いた7行、そのまま出します
  3. 「反応率0.1%」は、どこから来たのか
  4. 実際は、何人来たか
  5. 計画130人、実際129人
  6. 新規の比率は、97%から33%へ
  7. 前職のお客様を、数に入れないでください
  8. 減っていく新規と、積み上がる常連
  9. これから書く方へ
  10. よくある質問
  11. まとめ

合計から書かない。行を分ける

親記事で、私はこう書きました。

事業計画書に書いたこと

客数は手段ごとに分けて、根拠を1行ずつ書く。

この記事は、その1行ずつの中身の話です。

合計だけ書くのでは、ダメですか?

提出はできます。でも、あとで困ります。

合計だけ書いた計画は、外れたときに何も分からないんです。

ここが、この記事でいちばん大事なところかもしれません。

合計だけ書いた場合

計画より50人少なかった。「50人足りない」までは分かります。でもどこが足りないのかが分かりません。打ち手が出せません。

行を分けて書いた場合

計画より50人少なかった。「ポスティングが0で、紹介が半分だった」まで分かります。次に何をするかが決まります。

だから、合計を先に決めて割り振らないでください。1行ずつ積み上げて、出てきた数字が合計です。売上と同じで、客数も「決めるもの」ではなく「出てくるもの」です。

実際に書いた7行、そのまま出します

集客プランには、手段ごとに行を分けて書きました。ここに出すのは、媒体と販促の7行です。右の列が、そのとき書いた根拠です。

集客プラン(媒体・販促の7行)

ホットペッパービューティー65人

シンプルプラン。ブログを毎日投稿する(エリア担当者と打ち合わせ済み)

ミニモ20人

各スタッフにミニモを作成してもらう。集客の成功ノウハウを伝える

ハンティング(店頭販促)10人

4月1日より店前で実施。5,000枚配布(反応率0.1%で計算)

ポスティング10人

20,000枚をポスティング業者に委託(反応率0.05%で計算)

紹介10人

恵比寿で懇意にしてくださっている友人・知人・飲食店関係者に、紹介カードやチラシを渡して紹介してもらう

Instagram10人

リールで広告を出稿。オープンキャンペーンを3ヶ月間実施。施術写真・ビフォーアフターをマメに投稿し、投稿からホットペッパー・ミニモへつなげる

Googleマップからの予約5人

Googleビジネスプロフィールの作り込み。Google → ホットペッパーへ誘導して集客数アップ

合計130人

見ていただきたいのは、右の説明のほうです。数字より、そちらが本体です。

「5,000枚配布」「20,000枚を業者に委託」「ブログを毎日投稿」「4月1日より」。全部、自分がやることが書いてあります。

これが、行を分ける本当の意味だと思っています。行を分けると、やることが決まる。「月130人」だけでは、明日何をすればいいのか分かりません。

ホットペッパービューティーとミニモの欄には、こういう注も書いていました。「※コンサル先でオープン初月300名以上の新規集客実績あり」「※毎年講師経験あり。ブラッシュアップ済。月60名以上/人の実績あり」。自分の過去の実績を、根拠として書いています。提出先に対しては、これがいちばん強い根拠になります。実績があるなら、遠慮せず書いてください。

「反応率0.1%」は、どこから来たのか

ここは、正直に書きます。

「反応率0.1%」「0.05%」って、どこかに載っている数字なんですか?

なんとなくです。

私のコンサル先の実績や、肌感覚。そういうところから置いています。

もう1つ、白状しておきます。計算が合っていない行があります。

ポスティング合う

書いた計算20,000枚 × 0.05%

書いた人数10人(計算どおり)

ハンティング合わない

書いた計算5,000枚 × 0.1% → 5人のはず

書いた人数10人

いま見ると、ハンティングの行だけ合いません。おそらく「店の前で直接お渡しするぶん、チラシより反応がいいだろう」という感覚を、そのまま乗せたのだと思います。

それ、直さなくていいんですか?

根拠は、正確である必要はありません。説明できればいいんです。

「なぜこの数字にしたんですか」と聞かれて、自分の言葉で答えられる状態になっていること。それが根拠です。

正確さを求めると、いつまでも書けません。開いていない店の客数に、正しい数字は存在しないからです。

置いてください。そして、行を分けておいてください。それだけで、あとから検証できる形になります。

実際は、何人来たか

では、実際の数字を出します。2025年5月にオープンして、その年の12月までの8ヶ月です。

新規のお客様(月別・2025年)

オープン月の5月から12月まで

5月117
6月145
7月124
8月247
9月208
10月148
11月107
12月63

うちの売上フォーマットから、新規のお客様の人数だけを書き出しました。ピークは8月の247人。そこから12月まで、下がり続けています。

来店してくださった方の総数は、こうでした。

来店客数(総数)

5月オープン月121人
6月192人
7月200人
8月ピーク338人
9月296人
10月249人
11月218人
12月193人

計画130人、実際129人

並べます。

開業から3ヶ月の、新規のお客様ほぼ一致

計画(媒体・販促の7行の合計)130人

実際(5月117人・6月145人・7月124人の平均)129人

差は、1.3人でした。

「なんとなく」で置いた数字が、そこまで合うものなんですか。

正直、私も見返して驚きました。

ただ、合った理由は数字の精度ではないと思っています。7つの手段を、全部やったからです。

「ブログを毎日投稿する」と書いたから、毎日投稿しました。「5,000枚配布」と書いたから、店の前に立ちました。行に書いたことを、そのままやった。それだけです。

逆に言うと、書いてもやらなければ、その行はゼロになります。計画が当たるかどうかは、置いた数字の正しさではなく、その行を実行するかどうかで決まります。

月ごとに見ると、まったく安定していません。5月は計画の90%、6月は112%、7月は95%。8月にいたっては190%です。1ヶ月単位では当たりません。だから計画書には「開業後3ヶ月の月平均」と書きました。ならす期間を先に決めておくと、1ヶ月の上下で慌てずに済みます。

新規の比率は、97%から33%へ

もうひとつ、開業して初めて見えた形があります。

来店客数のうち、新規の方の割合

5月(オープン月)97%
7月62%
9月70%
11月49%
12月33%

121人中117人が新規だった5月から、193人中63人になった12月まで。8ヶ月かけて、店の中身が入れ替わっています。

オープンした月は、来てくださった方の97%が初対面でした。

当たり前と言えば当たり前です。まだ誰も来たことがないお店なので。でもこの「当たり前」を、開業前の私はきちんと想像できていませんでした。

ここから、この記事でいちばん言いたいことに入ります。

前職のお客様を、数に入れないでください

いま指名のお客様がいるので、その方たちが来てくれると思っているんですが……。

ここは、はっきり書きます。

前職のお客様は、あくまで前職のお客様です。自分のお客様ではありません。

開業は1から。そう考えたほうがいいです。

探して来てくださる方は、もちろんいます。そこはありがたいことですし、一概には言えません。

ただ、計画の数字に入れないでください。入れた瞬間に、その行はいちばん大きくて、いちばん検証できない行になります。そしてその行が外れると、計画全体が崩れます。

はっきり書いておきます

全部を1から集める、という気概がないなら、開業はやめておいたほうがいいと思います。

厳しい言い方に聞こえたら、すみません。でも、これはやめたほうがいいという話ではなく、順番の話です。

いま「1から集めるのは無理かもしれない」と思ったなら、その感覚のほうが正しいです。

それなら、業務委託やフリーランスという道があります。

いま、店を持つ

家賃も内装も設備も先に出ていきます。お客様はゼロから。私の場合、オープン月は97%が初対面でした。

先に、資金とお客様を貯める

業務委託やフリーランスで働きながら、自分についてくださるお客様と、開業資金を貯めてから独立する。これも立派な順番です。

私は、後者を選ぶ方を止めません。むしろ、そのほうが向いている方は多いと思います。

この連載は「開業しましょう」という話ではありません。開業がどういうものかを、開ける前に知ってもらうために書いています。知ったうえでやめる、も正解です。

減っていく新規と、積み上がる常連

新規のお客様が12月に63人まで減った、と書きました。これだけ見ると、悪い話に聞こえます。

でも、同じ期間に増えていたものがあります。

4回以上ご来店の方(月別)

5月・6月0人
7月8人
8月41人
10月55人
12月81人

そして、次回のご予約をその場でいただけた率も上がっていきました。オープン月は1%以下。11月には35%近く。

開業1年目は、この2つが入れ替わっていく1年です。

新規は必ず落ちます。落ちたぶんを、通ってくださる方が埋めていく。その入れ替わりが起きているかどうかが、見るべきところです。

だから、新規の人数だけを見て一喜一憂しないでください。新規が減っていても、4回以上来てくださる方が増えているなら、お店は育っています。

そしてこれは、集客計画には書けないことでもあります。開業前に書けるのは新規の行までです。常連のお客様は、計画では作れません。

これから書く方へ

埋められない欄が、たくさん出てきそうです。

埋められるだけ埋めてください。それでいいです。

全部埋まっている必要はありません。空いている行は「まだ手を打っていない」というだけのことです。

1

手段を、思いつくだけ並べる

うちは媒体と販促で7つ並べました。ネットのものと、足で稼ぐものの両方を入れてください。片方だけだと、片方が止まったときに何も残りません。

2

1行ずつ、自分がやることを書く

「5,000枚配る」「毎日ブログを書く」。人数より、この一文のほうが大事です。ここが書けない手段は、たぶん実行しません。

3

人数は「なんとなく」で置く

正確な数字は存在しません。説明できれば十分です。あとで外れたときに、どの行が外れたか分かればいいので。

4

合計は、最後に足す

先に合計を決めて割り振らないでください。それをやると、行の数字が「合計に合わせるための数字」になって、検証できなくなります。

そして最後にもう一度。前職のお客様の行は、作らないでください。その1行が、いちばん大きくて、いちばん危ない行になります。

よくある質問

手段は、いくつ並べればいいですか?

うちは媒体と販促で7つでした。数より、ネットのものと足で稼ぐものの両方が入っているかを見てください。片方に寄せると、そこが止まったときに何も残りません。

反応率などの数字は、どこで調べればいいですか?

正直に言うと、私は「なんとなく」です。過去に見てきた実績や肌感覚から置きました。調べて正確にするより、置いて先に進むほうが大事だと思っています。

計算が合わない行があってもいいんですか?

うちの計画書にも1行あります。「5,000枚 × 0.1%」なら5人のはずが、10人と書いてありました。根拠は正確である必要はなく、説明できればいいんです。

合計を先に決めて、割り振ってはいけませんか?

おすすめしません。合計に合わせた数字は、外れたときに検証できません。1行ずつ積み上げて、出てきたものが合計です。

前職の指名のお客様は、何人くらい来ると見ておけばいいですか?

数に入れないでください。前職のお客様は、あくまで前職のお客様です。探して来てくださる方はいますが、計画に入れると、いちばん大きくていちばん検証できない行になります。開業は1からと考えたほうが、結果的にうまくいきます。

1から集める自信がありません。

その感覚は、正しいと思います。それなら業務委託やフリーランスで働きながら、資金と、自分についてくださるお客様を貯めてから独立する、という順番があります。急いで店を持つ必要はありません。

新規のお客様が減ってきたら、まずいですか?

うちも8月の247人から12月の63人まで落ちました。同じ期間に、4回以上ご来店の方が0人から81人に増えています。新規の数だけでなく、その入れ替わりが起きているかを見てください。

まとめ

持ち帰ってほしいこと

1. 合計から書かない。手段ごとに行を分ける

2. 分ける理由は、外れたときにどの行が外れたか分かるから

3. 人数より、右の「自分がやること」の一文が本体

4. 根拠は正確でなくていい。説明できればいい

5. 計画が当たるのは数字が正しいからではなく、書いた行を実行したから

6. 1ヶ月単位では当たらない。ならす期間を先に決めておく

7. 前職のお客様を、数に入れない。開業は1から

8. 1から集める気概がないなら、先に業務委託やフリーランスで貯めるという順番もある

「なんとなくでいい」と言われて、やっと書けそうです。

あと、前職のお客様の話。……正直、いちばん当てにしていました。

そこに気づけたなら、この記事を書いた意味があります。

当てにしていた1行を外して、それでも数字が立つかどうか。立つなら進んでください。立たないなら、まだ早いということです。

次は、この客数と単価から売上が出てくる話になります。

この記事の親にもどる事業計画書は、どう書くのか

この記事は、私自身が2024年から2025年にかけて恵比寿で1店舗を開業した経験と、そのときに作成した事業計画書、および開業後の店舗データをもとに書いています。掲載している人数は当店の実績であり、立地・業態・時期によって大きく変わります。ご自身のお店に合わせて読み替えてください。

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阿部弘康

阿部 弘康

株式会社CALM TOKYO 代表取締役
恵比寿でまつげパーマ&眉毛アイブロウサロンを運営

美容業界18年。化粧品メーカーの営業、美容サロン専門の広告会社を経て、サロン専門のコンサルタントとして独立しました。集客に関する書籍を2冊出しています。
2025年、恵比寿に自分たちの店を開きました。技術は、表参道で17年やってきたアイリストの妻が。経営とマーケティングは私が見ています。人の店を見てきた側と、自分で開いた側。その両方から書いています。

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開業支援・サロンコンサルティング サロン集客ヘルパー 阿部 弘康(個人事業)