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まつげサロンの求人
何もない状態で、何を見せるか

お店の写真も、お客様の声も、スタッフの笑顔もない。
その状態で出した求人に、10名の応募がありました。

アイリストさん

スタッフを募集したいんですが、まだお店がないんです。

写真も、お客様の声も、何もなくて。求人票に書くことがありません。

阿部

うちも同じでした。あったのは、図面とコンセプトだけです。

それでも、リジョブ1本で10名の応募がありました。何を見せたか、そのまま出しますね。

この記事の結論

1. 見せられるのは「これから作るもの」だけ。だからコンセプトが要ります

2. 募集人数は、途中で変えていい。決まったら直す

3. 就業規則に、開業前から大金をかけない。私は70万円と言われて、やめました

この記事の内容

  1. 求人は、物件が決まるまで出せません
  2. 媒体はリジョブ1本。応募10名
  3. 見せるものが、何もない
  4. 実際に渡した資料の中身
  5. 募集人数は、途中で変えていい
  6. 面接はオンライン、技術はシェアサロンで
  7. 技術か、人柄か
  8. 前のお店の人に、声をかけるか
  9. 就業規則に、70万円と言われた
  10. よくある質問
  11. まとめ

求人は、物件が決まるまで出せません

先に、いちばん大事な前提から書きます。

ここが順番の芯です

求人は、物件の契約ができてからでないと出せません。

勤務地が決まらないからです。そして席数が決まらないので、何人採るのかも決まりません。

全体像のページでは、求人を「9つのなかで、いちばん早く動きはじめるステップ」として書いています。これは今も変えていません。ただし「早く動く」のは準備であって、掲載ではありません。

じゃあ、物件が決まるまでは何もできないんですか?

いえ、ほとんどのことは先にできます。

できないのは「出すこと」だけです。原稿も、条件も、給与の仕組みも、応募者に見せる資料も、物件がなくても作れます。

私が実際に出したのは、開業の2ヶ月前でした。物件の契約が決まったのがそこだったからです。

結果としては採用できました。でも、もっと早く出したかった、というのが本音です。

理由は単純で、応募があってから入社までに時間がかかるからです。相手は今のお店に勤めています。退職を伝えて、引き継いで、有給を消化して、というのが普通です。2ヶ月前に出すと、オープンに間に合わない人が出ます。

だから、求人を早くしたいなら、早めるのは物件です。ここは求人だけを頑張ってもどうにもなりません。物件の記事で「探すのに1年、でも勝負は最後の2〜3ヶ月」と書いたのは、こういう理由もあります。

物件が決まるまでに、やっておけること

1
求人原稿を書き上げておく空欄にしておくのは「勤務地」と「募集人数」だけです。それ以外は物件と関係ありません。
2
応募者に見せる資料を作っておくコンセプト、理念、給与の仕組み。これが本題です。この記事の後半で、うちが実際に見せたものをそのまま出します。
3
媒体を決めて、担当の方と話しておく掲載の申し込みから公開までにも日数がかかります。物件が決まった日に動けるようにしておくと、まるまる短縮できます。
4
入社日は、幅を持たせておく「オープン日から」ではなく「相談に応じます」にしておくと、良い人を逃しません。うちも1名は開業の1ヶ月後の入社でした。

媒体はリジョブ1本。応募10名

うちが使ったのは、リジョブだけです。他の媒体は使っていません。

※ うちが使ったというだけで、この媒体をすすめているわけではありません。集まりやすい媒体は、地域・職種・時期で変わります。まつげの求人がその地域でどれくらい出ているか、実際に見て決めてください。

そこに10名の応募がありました。そこから1名を採用し、その1ヶ月後に、同じリジョブでもう1名を採用しています。

1本で足りるものなんですか?

足りるかどうかは、地域と条件で変わります。うちの場合は足りました。

ただ、複数出すことをおすすめしない理由がひとつあります。原稿を書く時間が、それだけ分散するからです。

開業前のあなたは、物件・内装・器具・保健所・掲載媒体を同時に抱えています。そのなかで求人原稿を3本まともに書くのは、かなりきついです。

まず1本を、書けるだけ書く。反応がなければ、そのとき2本目を考える。この順番のほうが現実的だと思います。

見せるものが、何もない

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

求人原稿でいちばん効くものを並べてみます。

1

店内の写真

ない。工事はまだ始まっていません。

2

スタッフの笑顔

ない。まだ1人もいません。これから採るところです。

3

お客様の声

ない。1人も来ていません。

4

実績・売上

ない。1円も立っていません。

全部ありません。開業前とは、そういう状態です。

だから私は、これから作るものを見せました。

ここが大事です

見せたのは、図面とコンセプトです。

「まだ何もない」のではなくて、「これをこれから作ります」を見せたということです。

求人用に作った募集スライド。左に開業日と募集の言葉、右に店舗の平面図が入っている
実際に使ったスライドです。右にあるのが、契約した部屋の平面図です。まだ工事も始まっていませんが、「ここにこういう店を作ります」は、この1枚で伝わります。

そしてもうひとつ、書いておきたいことがあります。

「求人票に書くことがない」の多くは、まだ決めていないから書けないだけです。

何人体制でやるのか。どういうお客様に来てほしいのか。技術はどこまで求めるのか。休みはどうするのか。これは物件がなくても決められることです。決めていれば、書けます。

ここは事業計画書の記事とつながります。コンセプトを先に決めておくと、求人の段階でそのまま使えます。

実際に渡した資料の中身

うちが応募者の方に見せたのは、16ページの会社概要スライドです。中身はこうなっています。

求人資料に入れたペルソナのページの一部。名前・性別・年齢・婚姻・職業・職場・収入が表になっている
ペルソナのページから、プロフィール欄だけを抜き出したものです。この右側には、1日の過ごし方(起床・昼食・ジム・就寝の時刻まで)、まつ毛と眉毛の悩み、美容代は月10万円まで書いてあります。ここまで書いてあると、面接で「こういう方に来ていただきたいんです」と1枚見せるだけで済みます。
気づいたこと

16ページのうち、給与の話は最後の数ページだけでした。

あとで振り返って、これでよかったと思っています。給与だけで選んだ人は、給与だけで移ります。

募集人数は、途中で変えていい

細かい話ですが、知らないと直さないままになるので書いておきます。

うちは最初、「3名限定募集」で出しました。1名決まった時点で、「2名限定募集」に差し替えています。

最初 募集スライドの最初の版。3名限定募集と書かれている
1名決まった後 募集スライドの差し替え版。2名限定募集に変わっている
同じスライドの、募集人数だけを直したものです。数字1文字の差ですが、これを直さないまま出し続けるのは、応募する側から見ると気持ちのいいものではありません。

募集人数は、契約でも約束でもありません。状況が変わったら直していいものです。

むしろ、直さないほうが問題です。「3名募集」と書いてあるのに実は残り1枠、という状態は、応募する側の判断を狂わせます。

そもそも、何名で募集するかは席数から逆算します。

うちは4席あるので、最大でそれを埋められる人数。ただしいきなり全部埋める必要はありません。お客様がついてから増やす順番のほうが、給与を払い続ける不安が小さくて済みます。

面接はオンライン、技術はシェアサロンで

これも「店がない」ことから来る問題です。

面接をする場所がありません。そして、技術を見る場所もありません。

うちはこうしました。

1
まずオンラインで話す会社のこと、店のこと、条件のこと。ここで資料の16ページを画面共有します。相手も移動しなくて済むので、お互い気楽です。
2
次に、シェアサロンを借りて技術チェック時間貸しのシェアサロンを押さえて、実際に施術してもらいました。店がなくても、技術は見られます。

この2段階は、お店を持っていない人でもそのまま真似できます。シェアサロンは1日または数時間から借りられます。

ただ、正直に書いておくと、この1回で見えないものもありました。それは次の項に書きます。

技術か、人柄か

採用を決めるとき、最後まで迷ったのはここです。

結論から言うと、私はどちらかを選べませんでした。両方を見て、そのうえで決めています。ただ、見送った人のことなら、はっきり書けます。

お断りした方

新卒の方です。

技術がまだできない方でした。理由は能力ではありません。こちらに、教える余力がなかったからです。

開業直後というのは、店を回すだけで手一杯です。予約が入るかも分からない、オペレーションも固まっていない、自分たちも初めての場所で動いている。そこに教育を重ねると、どちらも中途半端になります。

これは「新卒を採らない」という話ではありません。「1店舗目の開業月ではなかった」という話です。時期の問題です。

そしてもうひとつ。あとで「聞いておけばよかった」と思ったことがあります。

?
遅刻の有無技術チェックの1回では見えません。前職での勤怠は、聞いていいことです。
?
人柄オンライン1回と技術チェック1回では、正直そこまで見えませんでした。もう1回、雑談だけの時間を取ればよかったと思っています。

前のお店の人に、声をかけるか

前のお店の後輩に声をかけたら、早いんじゃないですか。

技術も分かってるし、気心も知れてるし……。

やめておいたほうがいいです。

きれいごとで言っているのではありません。3つ、現実的な理由があります。

1 書面に書かれていることがある

就業規則や、入社時に交わした誓約書に、在職中・退職後の勧誘について定めがあることがあります。内容は会社によって違います。
まず、自分が署名した書面を読んでください。書いてあることが優先です。

2 もめたとき、開業直後のあなたに体力がない

仮に話し合いになったとして、その時期のあなたは、オープン準備の真っ最中です。時間も、お金も、気力も、そこに割く余裕はありません。
そして、まつげ業界は狭いです。取引先も、講習先も、材料屋さんも重なります。

3 そもそも、必要ありませんでした

うちはリジョブ1本で10名の応募がありました。声をかけなくても、集まります。
「声をかけないと集まらない」と思っているなら、先に直すのは求人原稿のほうです。

では、お客様に聞かれたら

ここは、「言わない」で終わらせると不親切だと思うので、私の線引きを書きます。

×
自分から働きかけない連絡先を持ち出す、個別にメッセージを送る、名指しで告知する。ここはやりません。
在職中は、退職が正式に決まるまで話さない順番の問題です。お店に先に伝わるのが筋だと思っています。
聞かれたら、嘘はつかない「どこに行くんですか」と聞かれて、答えるのは自然な会話です。ここまで我慢する必要はありません。
いちばん言いたいこと

前のお客様が来ないと成り立たない計画なら、直すのは計画のほうです。

ゼロから集める前提で数字が組めているか。ここは事業計画書に戻って確認してください。

※ 就業規則・誓約書の解釈は、書面の内容と個別の事情によります。心配な点があれば、その書面を持って弁護士・社会保険労務士にご相談ください。

就業規則に、70万円と言われた

もうひとつ、お金の話を書きます。

うちは労務まわりを全部やりました。雇用契約書、就業規則、社会保険、労務ソフト、給与計算。

そして、やりすぎました。

実際にあったこと

就業規則の作成を社労士さんにお願いしようとして、見積が70万円でした。

一度は、申し込みました。でも、開業前のこの時期に70万円をここに置くのは違うと思い直して、相見積もりを取りました。

結果、別の先生にお願いしました。金額は事務所によって、本当に違います。

誤解のないように書いておくと、これは金額の話であって、仕事の質の話ではありません。就業規則を専門の先生に作ってもらうこと自体には、意味があります。

問題はタイミングです。

開業前にやるもの/後でいいもの

労働条件通知書・雇用契約書人を雇う時点で必要です。ここは省けません。
社会保険・雇用保険の手続き期限があります。決まったら早めに動いてください。
給与計算の仕組み最初の給与日は必ず来ます。手計算にすると毎月しんどくなります。
就業規則常時10人未満の事業場では、作成・届出の義務はありません(労働基準法89条)。あったほうがいい場面はありますが、開業前に大金をかけるところではないというのが私の実感です。
評価制度1〜2名の段階では、まだ運用できません。人が増えてからで間に合います。

いま、うちは会計ソフトと労務ソフトを連動させて、月1〜2万円です。

ここはかけていいお金だと思っています。毎月かならず動くところなので、仕組みにしておくと、そのぶん施術と接客に時間が戻ってきます。

逆に、一度きりの70万円は、開業前のこの時期には重すぎました。

開業資金の記事で「知らなかったから600万円かかった」と書きました。これも同じ形をしています。知らないまま最初の見積を受けると、そこにお金が置かれます。

※ 労務関係の手続き・届出の要否は、事業の規模や形態によって異なります。実際の対応は、所轄の労働基準監督署・年金事務所、または社会保険労務士にご確認ください。

よくある質問

求人は、いつ出せばいいですか?

物件の契約ができてからです。勤務地と席数が決まらないと出せません。私は開業2ヶ月前でした。ただ、相手は今のお店に勤めているので退職・引き継ぎ・有給消化で1〜2ヶ月かかるのが普通です。物件が決まった日に出せるよう、原稿と資料は先に作っておいてください。

媒体はいくつ使うべきですか?

うちはリジョブ1本で応募10名でした。地域と条件で変わりますが、まず1本の原稿を書けるだけ書くほうが現実的です。開業前は他にやることが多すぎて、3本まともに書くのはきついです。

お店がまだないのに、面接はどこですればいいですか?

オンラインで話して、技術は時間貸しのシェアサロンで見ました。店がなくても技術は見られます。相手も移動が少なくて済むので、お互い気楽です。

募集人数は、途中で変えてもいいですか?

変えていいです。うちは3名限定で出して、1名決まった時点で2名限定に差し替えました。直さずに出し続けるほうが不誠実です。

就業規則は、開業前に作るべきですか?

常時10人未満の事業場では、作成・届出の義務はありません(労働基準法89条)。私は70万円という見積を見て、相見積もりを取り直しました。金額は事務所によって大きく違います。詳しくは社会保険労務士にご確認ください。

前のお店の後輩に、声をかけてもいいですか?

おすすめしません。就業規則や誓約書に定めがあることがあり、もめたときに開業直後のあなたには対応する体力がありません。それに、うちは媒体だけで10名集まりました。まず求人原稿を直してください。

まとめ

持ち帰ってほしいこと

1. 求人は、物件が決まるまで出せない。だから原稿と資料は先に作っておく

2. うちはリジョブ1本で応募10名。まず1本を書けるだけ書く

3. 見せられるのは「これから作るもの」だけ。図面とコンセプトを見せる

4. 給与の話は最後。給与だけで選んだ人は、給与だけで移ります

5. 募集人数は決まったら直す(3名 → 2名)

6. 面接はオンライン、技術はシェアサロンで

7. 遅刻の有無は、聞いていい

8. 前のお店の人に、自分から声をかけない

9. 就業規則に開業前から大金をかけない。相見積もりを取る

「何もないから書けない」と思っていましたが、決めていないから書けなかったんですね。

そうなんです。店の写真は、あとからいくらでも撮れます。

でも「どういう店にするのか」は、あなたにしか決められません。そしてそれは、物件がなくても今日決められます。

次は集客の話を書きますね。記事3で「看板が出せない」と書いた、あの続きです。

この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業したときの採用の記録をもとに書いています。掲載している求人資料は当社が作成したもので、応募状況・採用人数はいずれもうちの実例です。労働条件・社会保険・就業規則などの取り扱いは、事業の規模や形態、地域によって異なります。実際の対応は所轄の労働基準監督署・年金事務所、または社会保険労務士・弁護士にご確認ください。

阿部弘康

阿部 弘康

株式会社CALM TOKYO 代表取締役
恵比寿でまつげパーマ&眉毛アイブロウサロンを運営

美容業界18年。化粧品メーカーの営業、美容サロン専門の広告会社を経て、サロン専門のコンサルタントとして独立しました。集客に関する書籍を2冊出しています。
2025年、恵比寿に自分たちの店を開きました。技術は、表参道で17年やってきたアイリストの妻が。経営とマーケティングは私が見ています。人の店を見てきた側と、自分で開いた側。その両方から書いています。

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サロン運営 株式会社CALM TOKYO 代表取締役 阿部 弘康
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