お店の写真も、お客様の声も、スタッフの笑顔もない。
その状態で出した求人に、10名の応募がありました。
スタッフを募集したいんですが、まだお店がないんです。
写真も、お客様の声も、何もなくて。求人票に書くことがありません。
うちも同じでした。あったのは、図面とコンセプトだけです。
それでも、リジョブ1本で10名の応募がありました。何を見せたか、そのまま出しますね。
1. 見せられるのは「これから作るもの」だけ。だからコンセプトが要ります
2. 募集人数は、途中で変えていい。決まったら直す
3. 就業規則に、開業前から大金をかけない。私は70万円と言われて、やめました
この記事の内容
先に、いちばん大事な前提から書きます。
求人は、物件の契約ができてからでないと出せません。
勤務地が決まらないからです。そして席数が決まらないので、何人採るのかも決まりません。
全体像のページでは、求人を「9つのなかで、いちばん早く動きはじめるステップ」として書いています。これは今も変えていません。ただし「早く動く」のは準備であって、掲載ではありません。
じゃあ、物件が決まるまでは何もできないんですか?
いえ、ほとんどのことは先にできます。
できないのは「出すこと」だけです。原稿も、条件も、給与の仕組みも、応募者に見せる資料も、物件がなくても作れます。
私が実際に出したのは、開業の2ヶ月前でした。物件の契約が決まったのがそこだったからです。
結果としては採用できました。でも、もっと早く出したかった、というのが本音です。
理由は単純で、応募があってから入社までに時間がかかるからです。相手は今のお店に勤めています。退職を伝えて、引き継いで、有給を消化して、というのが普通です。2ヶ月前に出すと、オープンに間に合わない人が出ます。
だから、求人を早くしたいなら、早めるのは物件です。ここは求人だけを頑張ってもどうにもなりません。物件の記事で「探すのに1年、でも勝負は最後の2〜3ヶ月」と書いたのは、こういう理由もあります。
うちが使ったのは、リジョブだけです。他の媒体は使っていません。
※ うちが使ったというだけで、この媒体をすすめているわけではありません。集まりやすい媒体は、地域・職種・時期で変わります。まつげの求人がその地域でどれくらい出ているか、実際に見て決めてください。
そこに10名の応募がありました。そこから1名を採用し、その1ヶ月後に、同じリジョブでもう1名を採用しています。
1本で足りるものなんですか?
足りるかどうかは、地域と条件で変わります。うちの場合は足りました。
ただ、複数出すことをおすすめしない理由がひとつあります。原稿を書く時間が、それだけ分散するからです。
開業前のあなたは、物件・内装・器具・保健所・掲載媒体を同時に抱えています。そのなかで求人原稿を3本まともに書くのは、かなりきついです。
まず1本を、書けるだけ書く。反応がなければ、そのとき2本目を考える。この順番のほうが現実的だと思います。
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
求人原稿でいちばん効くものを並べてみます。
ない。工事はまだ始まっていません。
ない。まだ1人もいません。これから採るところです。
ない。1人も来ていません。
ない。1円も立っていません。
全部ありません。開業前とは、そういう状態です。
だから私は、これから作るものを見せました。
見せたのは、図面とコンセプトです。
「まだ何もない」のではなくて、「これをこれから作ります」を見せたということです。
そしてもうひとつ、書いておきたいことがあります。
「求人票に書くことがない」の多くは、まだ決めていないから書けないだけです。
何人体制でやるのか。どういうお客様に来てほしいのか。技術はどこまで求めるのか。休みはどうするのか。これは物件がなくても決められることです。決めていれば、書けます。
ここは事業計画書の記事とつながります。コンセプトを先に決めておくと、求人の段階でそのまま使えます。
うちが応募者の方に見せたのは、16ページの会社概要スライドです。中身はこうなっています。
16ページのうち、給与の話は最後の数ページだけでした。
あとで振り返って、これでよかったと思っています。給与だけで選んだ人は、給与だけで移ります。
細かい話ですが、知らないと直さないままになるので書いておきます。
うちは最初、「3名限定募集」で出しました。1名決まった時点で、「2名限定募集」に差し替えています。
募集人数は、契約でも約束でもありません。状況が変わったら直していいものです。
むしろ、直さないほうが問題です。「3名募集」と書いてあるのに実は残り1枠、という状態は、応募する側の判断を狂わせます。
そもそも、何名で募集するかは席数から逆算します。
うちは4席あるので、最大でそれを埋められる人数。ただしいきなり全部埋める必要はありません。お客様がついてから増やす順番のほうが、給与を払い続ける不安が小さくて済みます。
これも「店がない」ことから来る問題です。
面接をする場所がありません。そして、技術を見る場所もありません。
うちはこうしました。
この2段階は、お店を持っていない人でもそのまま真似できます。シェアサロンは1日または数時間から借りられます。
ただ、正直に書いておくと、この1回で見えないものもありました。それは次の項に書きます。
採用を決めるとき、最後まで迷ったのはここです。
結論から言うと、私はどちらかを選べませんでした。両方を見て、そのうえで決めています。ただ、見送った人のことなら、はっきり書けます。
新卒の方です。
技術がまだできない方でした。理由は能力ではありません。こちらに、教える余力がなかったからです。
開業直後というのは、店を回すだけで手一杯です。予約が入るかも分からない、オペレーションも固まっていない、自分たちも初めての場所で動いている。そこに教育を重ねると、どちらも中途半端になります。
これは「新卒を採らない」という話ではありません。「1店舗目の開業月ではなかった」という話です。時期の問題です。
そしてもうひとつ。あとで「聞いておけばよかった」と思ったことがあります。
前のお店の後輩に声をかけたら、早いんじゃないですか。
技術も分かってるし、気心も知れてるし……。
やめておいたほうがいいです。
きれいごとで言っているのではありません。3つ、現実的な理由があります。
就業規則や、入社時に交わした誓約書に、在職中・退職後の勧誘について定めがあることがあります。内容は会社によって違います。
まず、自分が署名した書面を読んでください。書いてあることが優先です。
仮に話し合いになったとして、その時期のあなたは、オープン準備の真っ最中です。時間も、お金も、気力も、そこに割く余裕はありません。
そして、まつげ業界は狭いです。取引先も、講習先も、材料屋さんも重なります。
うちはリジョブ1本で10名の応募がありました。声をかけなくても、集まります。
「声をかけないと集まらない」と思っているなら、先に直すのは求人原稿のほうです。
ここは、「言わない」で終わらせると不親切だと思うので、私の線引きを書きます。
※ 就業規則・誓約書の解釈は、書面の内容と個別の事情によります。心配な点があれば、その書面を持って弁護士・社会保険労務士にご相談ください。
もうひとつ、お金の話を書きます。
うちは労務まわりを全部やりました。雇用契約書、就業規則、社会保険、労務ソフト、給与計算。
そして、やりすぎました。
就業規則の作成を社労士さんにお願いしようとして、見積が70万円でした。
一度は、申し込みました。でも、開業前のこの時期に70万円をここに置くのは違うと思い直して、相見積もりを取りました。
結果、別の先生にお願いしました。金額は事務所によって、本当に違います。
誤解のないように書いておくと、これは金額の話であって、仕事の質の話ではありません。就業規則を専門の先生に作ってもらうこと自体には、意味があります。
問題はタイミングです。
いま、うちは会計ソフトと労務ソフトを連動させて、月1〜2万円です。
ここはかけていいお金だと思っています。毎月かならず動くところなので、仕組みにしておくと、そのぶん施術と接客に時間が戻ってきます。
逆に、一度きりの70万円は、開業前のこの時期には重すぎました。
開業資金の記事で「知らなかったから600万円かかった」と書きました。これも同じ形をしています。知らないまま最初の見積を受けると、そこにお金が置かれます。
※ 労務関係の手続き・届出の要否は、事業の規模や形態によって異なります。実際の対応は、所轄の労働基準監督署・年金事務所、または社会保険労務士にご確認ください。
求人は、いつ出せばいいですか?
物件の契約ができてからです。勤務地と席数が決まらないと出せません。私は開業2ヶ月前でした。ただ、相手は今のお店に勤めているので退職・引き継ぎ・有給消化で1〜2ヶ月かかるのが普通です。物件が決まった日に出せるよう、原稿と資料は先に作っておいてください。
媒体はいくつ使うべきですか?
うちはリジョブ1本で応募10名でした。地域と条件で変わりますが、まず1本の原稿を書けるだけ書くほうが現実的です。開業前は他にやることが多すぎて、3本まともに書くのはきついです。
お店がまだないのに、面接はどこですればいいですか?
オンラインで話して、技術は時間貸しのシェアサロンで見ました。店がなくても技術は見られます。相手も移動が少なくて済むので、お互い気楽です。
募集人数は、途中で変えてもいいですか?
変えていいです。うちは3名限定で出して、1名決まった時点で2名限定に差し替えました。直さずに出し続けるほうが不誠実です。
就業規則は、開業前に作るべきですか?
常時10人未満の事業場では、作成・届出の義務はありません(労働基準法89条)。私は70万円という見積を見て、相見積もりを取り直しました。金額は事務所によって大きく違います。詳しくは社会保険労務士にご確認ください。
前のお店の後輩に、声をかけてもいいですか?
おすすめしません。就業規則や誓約書に定めがあることがあり、もめたときに開業直後のあなたには対応する体力がありません。それに、うちは媒体だけで10名集まりました。まず求人原稿を直してください。
1. 求人は、物件が決まるまで出せない。だから原稿と資料は先に作っておく
2. うちはリジョブ1本で応募10名。まず1本を書けるだけ書く
3. 見せられるのは「これから作るもの」だけ。図面とコンセプトを見せる
4. 給与の話は最後。給与だけで選んだ人は、給与だけで移ります
5. 募集人数は決まったら直す(3名 → 2名)
6. 面接はオンライン、技術はシェアサロンで
7. 遅刻の有無は、聞いていい
8. 前のお店の人に、自分から声をかけない
9. 就業規則に開業前から大金をかけない。相見積もりを取る
「何もないから書けない」と思っていましたが、決めていないから書けなかったんですね。
そうなんです。店の写真は、あとからいくらでも撮れます。
でも「どういう店にするのか」は、あなたにしか決められません。そしてそれは、物件がなくても今日決められます。
次は集客の話を書きますね。記事3で「看板が出せない」と書いた、あの続きです。
この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業したときの採用の記録をもとに書いています。掲載している求人資料は当社が作成したもので、応募状況・採用人数はいずれもうちの実例です。労働条件・社会保険・就業規則などの取り扱いは、事業の規模や形態、地域によって異なります。実際の対応は所轄の労働基準監督署・年金事務所、または社会保険労務士・弁護士にご確認ください。
