予約システム、決済、保険、そしてゴミ。
地味な10項目と、その全部を洗い出すための9日間の話です。
内装も器具も終わって、あとは開けるだけ……ですよね?
まだ10項目残っています。予約システム、決済、保険、BGM、ドリンク、そしてゴミ。
どれも地味です。でも抜けると、オープン初日にあわてます。
1. 細かいものは、リストを使っても必ず足りなくなる
2. だからプレオープン期間を置く。うちは9日間とりました
3. 保険は、最初に高いものへ入りすぎました
この記事の内容
私は開業準備をチェックリストで管理していました。100項目以上あるものです。
そのなかの「店舗運営」の欄を、期限ごとそのまま出します。オープンは2025年5月10日です。
いま並べてみて、あらためて気づいたことがあります。
5月3日に固まっています。オープンは5月10日。1週間前です。
これは、段取りが悪かったからではありません。物件の引渡しが終わらないと、手をつけられないものだからです。
ゴミの出し方も、セキュリティも、BGMのスピーカーをどこに置くかも、部屋が自分のものにならないと決められません。
だから、この10項目は「早くやる」ではなく「まとめてやる日を決めておく」が正解だと思っています。
そしてその日は、必ず慌ただしくなる前提で置いてください。
ちなみに、うちはほぼ計画どおりに進みました。多少の前後はありましたが、問題は出ていません。先に日を決めていたからだと思います。
うちが入れたのはサロンアンサーです。予約とレジ(POS)と顧客管理が1つになっているものです。
設定に1週間以上かかりました。メニュー、料金、施術時間、スタッフのシフト、WEB予約の受付ルール。登録するものが、とにかく多いです。
いま毎月払っている金額を、そのまま出します。
サロンアンサー|月額(2026年4月・請求書より)
2026年4月時点・4席の店の場合です。価格は時期や契約内容で変わります。
月3万円です。安くはありません。ただ、この中身の話をさせてください。
上の表で、本体の次に高いのは「LINEミニアプリ 6,800円」です。
そしてこれが、うちでいちばん効いているものです。
最初のご案内で、公式LINEを確実に登録していただくこと。
これがリピートの生命線です。
教育マニュアルは作ったんですか?
作っていません。正直に言うと、オープン前にそこまでの余裕はありませんでした。
代わりに、この1つだけをオープン前に徹底しました。マニュアルではなく、流れとして体に入れてもらったという感じです。
POSと公式LINEが連動しているので、登録さえしていただければ、そこから先はつながります。裏を返すと、最初のご案内で取れなければ、そのお客様とは二度と連絡が取れません。
ここは、システムを選ぶときの基準にもなります。「予約が取れるか」だけで選ばないでください。「一度来てくださったお客様と、どうやってつながり続けるか」まで見て選ぶと、月々の金額の意味が変わります。
キャッシュレス決済はエアペイにしました。
決め手は、意外なところにあります。
お店が完成する前に、シェアサロンで先に使う必要があったからです。
だから持ち運びのいいものを選びました。
集客の記事に書いたとおり、うちはオープン前にシェアサロンを借りて施術をしていました。そこでもお会計は発生します。
つまり「開業前に営業する期間があるかどうか」で、選ぶ端末が変わるということです。据え置き型を先に契約していたら、シェアサロンで使えませんでした。
ここは、正直に書きます。失敗しました。
いちばん手厚いものに入りました。何が起きるか分からなかったからです。
必要最小限に切り替えました。1年やって、自分の店に本当に要る補償が分かったからです。
店舗保険・賠償保険は毎年更新です。だから、あとから変えられます。
なぜ最初に高いものへ入ったのか。怖かったからです。お客様の目のまわりを扱う仕事です。判断としては、間違っていなかったと思います。
ただ、5万円と1万円の差は、4万円です。開業してすぐの1年で、この4万円は小さくありません。
これは保険を軽く見ていい、という話ではありません。入らないという選択はありません。
そうではなく、「1年後に見直す」を最初から予定に入れておいてくださいという話です。保険は毎年更新なので、そこが必ず来ます。
開業資金の記事で「知らなかったから600万円かかった」と書きました。求人の記事では「就業規則に70万円と言われた」と書きました。保険も、同じ形をしています。
この記事でいちばん驚いたことです。
お店から出るゴミは、家庭ゴミとして出せません。
うちはコンビニで「ゴミを捨てるためのシール」を買って、それを貼って出しています。
開業して驚いたことの、ひとつです。
知らなかった、というのが正直なところです。マンションの一室なので、今までどおりに出せばいいと思っていました。
実際には、事業から出るゴミは家庭ゴミとは扱いが別です。自治体の有料の処理券を貼って出すか、回収業者と契約するか。うちは前者になりました。
ゴミの扱いは、自治体ごとに大きく違います。また、賃貸の場合は管理規約や貸主の取り決めが優先されます。必ず、所轄の自治体と管理会社の両方に確認してください。この記事は「うちの場合」です。
物件の記事で「不動産屋に最初に全部伝える」と書きました。この項目も、そのリストに足してください。「事業のゴミは、どこにどう出せますか」です。
スピーカーは、家庭用のポータブルなもので足ります。置き場所を動かせるほうが、レイアウトの調整がききます。
ただし、音源は別の話です。お店で音楽を流すことは、家で聴くこととは扱いが違います。個人向けの音楽サブスクは、規約で店舗での利用を認めていないものがほとんどです。また、自分で買ったCDや音源を店内で流す場合も、著作権の手続きが必要になります。
店舗向けのBGMサービスを使えば、この手続きをまとめて引き受けてもらえます。ここは必ず、使うサービスの規約と、著作権管理団体の案内を確認してください。
チェックリストには「雑誌・電子書籍」と書いてありました。でも、入れませんでした。
アイサロンの場合、お客様はほぼ寝ています。
読み物が要る時間が、ほとんどありません。
これは業種によって答えが変わるところです。ヘアサロンなら必要かもしれません。自分の店で、お客様が何をしている時間が長いか。そこから決めてください。
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
5月1日〜5月9日 …… プレオープン期間(9日間)
5月10日 …… 本オープン
9日間も? なぜそんなに?
「あれがない、これがない」が必ず出ると分かっていたからです。
そして実際、出ました。チェックリストを使って、100項目を潰したうえで、それでも出ました。
ここは正直に書いておきたいところです。
細々したものは、リストを使っても、確実に足りなくなります。
ボールペン、輪ゴム、レジ袋、タオルの枚数、ゴミ袋のサイズ、コンセントの数。こういうものは、実際に1人のお客様を通してみないと分かりません。
だからプレオープンは、集客のためではなく「洗い出しのため」に置きました。結果として、本オープンの日はスムーズでした。
もしスケジュールがきつくて、どこかを削らなければならないなら、削るのはプレオープンではありません。プレオープンを残して、オープン日を後ろにずらしてください。
予約システムは、いつ契約すればいいですか?
オープンの2週間前には契約を済ませてください。うちは設定だけで1週間以上かかりました。メニュー・料金・施術時間・シフト・WEB予約のルールと、登録するものがとにかく多いです。
システムの月額は、どれくらい見ておけばいいですか?
うちは月30,360円(税込)です。本体に加えて、ネット予約・掲載媒体との連携・公式LINE連携のオプションが乗っています。席数や契約内容で変わります。
キャッシュレス決済は、どう選べばいいですか?
手数料や入金サイクルはもちろんですが、「どこで使うか」も見てください。うちは開業前にシェアサロンで施術していたので、持ち運べることが決め手になりました。
店舗保険は、いくらくらいですか?
うちは開業時に年5万円ほどの手厚いものに入り、1年後に見直して年1万円ほどになりました。毎年更新なので、1年後に見直すことを最初から予定に入れておいてください。
お店のゴミは、家庭ゴミとして出せますか?
出せません。事業から出るゴミは扱いが別です。自治体の処理券を貼って出すか、回収業者と契約します。マンションの場合は、共用のゴミ置き場が使えるかを管理会社に確認してください。物件を契約する前にです。
プレオープンは、どれくらいとればいいですか?
うちは9日間とりました。長さより「本オープン前に、実際にお客様を通す日をつくる」ことが目的です。細かい備品は、通してみないと足りないことが分かりません。
1. 最後の10項目は「まとめてやる日」を先に決めておく
2. 予約システムは設定に1週間以上。2週間前には契約を
3. システムは「予約が取れるか」ではなく「つながり続けられるか」で選ぶ
4. 公式LINEの登録は、最初のご案内で確実に。ここが取れないと連絡手段が消えます
5. 決済端末は「どこで使うか」で選ぶ
6. 保険は1年後に見直す。最初から予定に入れておく
7. お店のゴミは家庭ゴミでは出せない。物件契約の前に確認を
8. 待合の読み物は業種による(アイサロンはほぼ寝ています)
9. 細々したものは、リストを使っても確実に足りなくなる
10. だからプレオープンを置く。削るなら、ほかを削る
100項目のリストを作っても、足りないんですね。
足りません。私はそれを仕事にしてきた側ですが、それでも足りませんでした。
だからリストは「漏れをゼロにする道具」ではなく「大物を落とさない道具」だと思っています。細かいものは、リストではなく時間で拾います。それがプレオープンです。
次で最後です。手続きと経理の話を書きますね。
この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業したときの準備の記録と、実際に使用したチェックリスト・請求書をもとに書いています。掲載しているシステムの金額は2026年4月時点・4席の店の場合で、契約内容や時期によって変わります。保険料は加入内容によって大きく異なります。ゴミの取り扱いは自治体・物件ごとにルールが異なるため、所轄の自治体と管理会社の双方にご確認ください。店内BGMの利用条件は、各サービスの規約および著作権管理団体の定めによります。
