家賃って、いくらまでなら払っていいんでしょうか。
いいなと思う物件は、だいたい高くて。
この記事は、私がいちばん後悔しているところの話になります。
先に結論を書きます。家賃だけは、妥協してください。
妥協……ですか。
物件のところでは「エレベーターは譲らなかった」と書かれていましたよね。
そうです。設備や立地は、譲れないものを1つ持っていい。
でも家賃は別です。理由は1つで、固定費は、簡単には下げられないからです。
いまの店には、とても満足しています。それでも、家賃は高いと思っています。
この記事の内容
まず、一般的に言われている目安から書きます。
家賃は、売上の10%以内が理想。15%が上限。
ただし都心では10%はなかなか難しいので、実務では12〜15%に収まるかを見ることが多いです。
順番はこうです。
ここからが本題です。
私も、逆算はしていました。それでも、止まりませんでした。
正直に書きます。
「いけるだろう」と、たかを括っていました。
でも、計算はしていたんですよね……?
していました。でも、比率は「売上の見込み」にかけるものなんです。
見込みを強気に置いた瞬間、上限も一緒に上がります。15%というルールは、そこでは何の歯止めにもなりません。
「売上の15%以内」は、正しいけれど、止まりません。売上を1.3倍で置けば、払える家賃も1.3倍になるからです。比率の外側に、もう1本の物差しが要ります。それが次の話です。
私がいま使っている物差しは、これです。
1席あたり、月商60万円。
まずはこの計算でいいと思います。ここから上に行けたら、最高です。
なるほど……。席数から出すと、盛れないですね。
そこが大事なところです。
売上から入ると、いくらでも強気に置けます。でも席は、数えたら終わりです。4席の店が5席分の売上を出すことはできません。
いくらでも強気に置けます。「がんばればいける」が入り込みます。
数えたら終わりです。席 × 60万円。ここに気持ちは入りません。
4席 × 60万円 = 月商240万円
ここに10〜15%をかけると、家賃の上限は24万〜36万円。
この幅から出る物件は、内見に行かないと決めておきます。
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
上の計算には、大きな穴があります。4席 × 60万円というのは、4席が全部埋まっている前提だからです。
席が埋まらないこともある、ということですか。
席ではなく、人です。
席は4つあっても、施術する人がいなければ、その席は0円です。
うちで起きたことを書きます。
開けたあと、スタッフが入って、辞めていく時期がありました。ようやく育って、利益が出はじめた矢先でした。
一人ひとりに事情があります。それは私が語ることではありません。
ここで書きたいのは、私の側の話です。
そのあいだも、家賃は1円も下がりませんでした。
支払いが重なった月は、1ヶ月で100万円の赤字を出しました。
私は、席が埋まっている前提で家賃を決めていました。
人が抜けたときのことを、数字にしていなかったんです。
上限は「満席のとき」で決める。
下限は「1名で回したとき」で決める。
この2本目がないと、人が抜けた月に止まります。
1名で回したときの計算って、どうやるんですか。
単純です。1席 × 60万円で計算してみてください。
その月商から、家賃と、材料と、掲載料と、自分の生活費を引く。残るかどうかです。
残らない家賃なら、その物件はやめたほうがいい。これが私の答えです。
月商240万円。ここで家賃を決めると、いちばん高い物件が取れます。
そして、人が抜けた月に効いてきます。
月商60万円。ここで払えるかを見ると、物件はぐっと小さくなります。
でも、止まりません。
1名でも利益が出る基盤を、まず作る。これが本当に重要なんだと、いま思っています。
もう少し、固定費の話を続けます。
私が開業前に本当の意味では分かっていなかったのが、人を雇うことの重みでした。
社会保険の重みです。
給与の額は見ていました。でも、会社が負担する分が毎月出ていくことの重さは、実感としては分かっていませんでした。
そして、固定費は重なります。
家賃、社会保険、掲載料、リース、返済。1つ1つは払えても、同じ月に重なると効きます。
支払いが重なった月に、100万円の赤字を出しました。
売上は動きます。固定費は動きません。これが全部です。
売上が半分になっても、家賃は半分になりません。人が抜けても、家賃は減りません。だから、家賃をいくらにするかは「いちばん取り返しがつかない判断」だと思っています。
物件を比べるとき、坪単価を見ると思います。目安としては便利です。
ただ、坪単価だけで並べると、実際の支払いを見誤ります。
この合計を月あたりに直して、はじめて物件どうしを比べられます。
年に1回のものまで、月割りにするんですか。
してください。年1回のものは、忘れた頃に来ます。
そして、来る月はたいてい他の支払いと重なります。月割りで持っておけば、驚きません。
坪単価の相場は、エリアによってまったく違います。同じ「坪1.5万円」でも、地域が変われば意味が変わります。その街の相場は、必ず不動産屋さんに聞いてください。ネットの平均値ではなく、そのエリアで実際に決まっている額を聞くのがいちばん早いです。
「安い物件を探せばいいのでは」と思われるかもしれません。私のエリアでは、そもそもありませんでした。
正確に言うと、安い物件はありました。ただ、安いものは、狭いか、遠いかのどちらかでした。
探していた広さと近さでは、安いものはなかった、ということです。
安さは、単独では手に入りません。
安くするなら、広さか、立地のどちらかを渡すことになります。
ここが、この記事と親記事の「妥協」の話がつながるところです。全部は取れません。だから先に順位をつけておくという話でした。
私は、両方を検討しました。そして最終的にはいまの物件に決めて、物件そのものには非常に満足しています。
そのうえで、いま同じ選択をするならどうするか。広さを削ります。
エリアを下げる
変わるもの来ていただけるお客様が変わります。単価も、通っていただける距離も。
戻せるか戻せません。お店の前提そのものが変わります。
広さを削る
変わるもの席数の上限が下がります。最初から大人数では回せません。こちらを推します
戻せるかあとから広い物件に移れます。売上が上がって、利益が出てからで間に合います。
最初は1名、または2名でスタートするくらいの気持ちで、狭い部屋にする。
売上が上がって、利益が出てから広い部屋を借りる。
ここはシビアにすべきところでした。
最後に、いまの自分の基準を書きます。
1名〜2名でオープンする規模感。
坪単価は1万〜1.5万円台でやりたいと思っています。
この坪単価は、私の狙いであって、相場ではありません。エリアによって相場はまったく違います。ご自身のエリアの相場は、必ず不動産屋さんに聞いてください。
1店舗目より、小さくするんですね。
小さくします。
1名でも利益が出る基盤を作ってから、大きくする。順番はこちらでした。
これも、美容業界の現実だと思っています。人は動きます。動いても止まらない形にしておくことが、結局いちばん強い。
家賃は、売上の何%までですか?
よく言われるのは「10%以内が理想、15%が上限」です。都心では10%はなかなか難しいので、実務では12〜15%に収まるかを見ることが多いと思います。ただしこの比率だけでは止まりません。売上の見込みを強気に置けば、払える家賃も一緒に上がるからです。
比率のほかに、何で見ればいいですか?
席数です。私は1席あたり月商60万円で計算しています。4席なら240万円。これが天井です。売上からは強気に置けますが、席は数えたら終わりです。ここに気持ちは入りません。
1席60万円は、どんなお店でも使えますか?
目安です。エリア・メニュー・客単価で変わります。ただ、まずこの計算で置いてみて、ここから上に行けたら最高という見方をするのがいいと思います。自分の店の数字が出てきたら、そちらに差し替えてください。
満席の売上で家賃を決めては、いけませんか?
それだけで決めないでください。4席あっても、施術する人がいなければその席は0円です。うちは、スタッフが入って辞めていく時期に家賃が1円も下がらず、支払いが重なった月に100万円の赤字を出しました。上限は満席で、下限は1名で。2本の物差しで見てください。
「1名で回したとき」は、どう計算しますか?
1席 × 60万円で月商を置きます。そこから家賃・材料・掲載料・自分の生活費を引いて、残るかどうかです。残らない家賃なら、その物件はやめたほうがいいというのが私の答えです。
坪単価で比べれば、いいですか?
目安にはなりますが、それだけでは見誤ります。賃料+共益費・管理費+保証会社の更新料+更新料+その他を足して、月あたりに直した額で比べてください。年に1回のものは月割りにしておくと、忘れた頃に来ても驚きません。
坪単価の相場は、どれくらいですか?
エリアによってまったく違いますので、金額は書けません。その街の相場は、必ず不動産屋さんに聞いてください。ネットの平均値ではなく、そのエリアで実際に決まっている額を聞くのがいちばん早いです。ちなみに私が次にやるなら、と思っているのは坪1万〜1.5万円台ですが、これは相場ではなく私の狙いです。
安い物件を探せば、解決しませんか?
私のエリアでは、安いものは狭いか遠いかのどちらかでした。安さは単独では手に入りません。安くするなら、広さか立地のどちらかを渡すことになります。
エリアを下げるのと、広さを削るのは、どちらがいいですか?
私は広さを削るほうを推します。エリアを下げると、来ていただけるお客様も単価も変わり、お店の前提そのものが変わります。広さは、売上が上がって利益が出てから、広い物件に移れます。最初は1〜2名でスタートするくらいの気持ちで狭い部屋にする。これがいまの私の考えです。
物件が気に入っているなら、家賃が高くてもいいのでは?
うちがまさにそれです。物件には非常に満足しています。でも、家賃は高い。設備や立地は、譲れないものを1つ持っていいと思っています。ただ家賃だけは別です。売上は動きますが、固定費は動きません。いちばん取り返しがつかない判断だと思っています。
1. 目安は売上の10%以内が理想、15%が上限(都心なら12〜15%)
2. 比率だけでは止まりません。売上を強気に置けば、上限も上がるから
3. だから席数で天井を出す。1席あたり月商60万円で計算する
4. 上限は満席で、下限は1名で。2本の物差しを持つ
5. 席が4つあっても、人がいなければその席は0円
6. 売上は動く。固定費は動かない。人が抜けても家賃は減らない
7. 1名でも利益が出る基盤を、まず作る
8. 比べるのは坪単価ではなく「毎月ほんとうに出ていく額」(年1回のものは月割り)
9. 安さは単独では手に入らない。広さか立地を渡すことになる
10. どちらかを渡すなら広さ。広さはあとから買い戻せる
「1名で回したときに払えるか」で見ると、私が見ていた物件は全部アウトでした。
それでいいんです。いま気づけたのが、いちばん安く済みます。
物件は、探せば出てきます。契約した家賃だけは、あとから探し直せません。
この記事は、私自身が2024年から2025年にかけて恵比寿で1店舗を開業し、運営してきた経験をもとに書いています。家賃の比率・坪単価の相場・1席あたりの売上は、エリア・メニュー・客単価によって大きく変わります。ここに書いた数字は目安であり、相場を示すものではありません。その街の相場は不動産会社に、社会保険の扱いは社会保険労務士に、資金計画は金融機関や税理士にご確認ください。私は不動産の専門家でも、税理士・社会保険労務士でもありません。

30分の無料相談を
お受けしています
開業の準備、資金計画、開いたあとの集客と求人。
まだ何も決まっていない段階でも大丈夫です。
無理におすすめすることはありません。