口コミが書かれないのは、お客様が面倒だからではありません。何を書けばいいか分からないからです。
うちは、受付台のQRを読むと、3つの質問に答えるだけで文章ができる形にしました。入力は1文字もありません。
ただし、置いただけでは使われません。お帰りのときに、声をかけています。
置いてあるものと、言っている言葉を、そのまま出します。
この記事の内容
A4のポップを1枚、受付台に立てています。
書いてあるのはこれだけです。
ポップ自体は、特別なものではありません。どこの店にもあります。うちが変えたのは、QRを読んだ先です。
QRを読むと、最初にこの画面が出ます。
CALM TOKYO 恵比寿店
本日はご来店ありがとうございました。
3つの質問に答えるだけで、クチコミの文章ができます。
ゼロから書く必要はありません。
はじめる30秒ほどで終わります。
「ゼロから書く必要はありません」と「30秒ほどで終わります」を、押す前に見えるところに置いてあります。ここで身構えられたら、その先に進みません。
あとは3画面です。
図表②:実際の画面(5枚)
※ 画面は横にスクロールできます
入力欄はありません。文字は1文字も打ちません。お客様がやるのは、当てはまるものを押すことと、出てきた文章を読むことだけです。
各質問で3つまで選べます。全部選ばなくても進めます。
質問は3つで固定しています。増やせば文章は詳しくなりますが、増やすほど途中でやめられます。会計の場ですから、画面に5つも6つも質問が並んだ時点で閉じられます。
書かれなかった口コミは、質がゼロです。だから3つで止めました。
そのうえで、選択肢の中身は自分の店に合わせて決められます。うちは今こうしています。
| 選択肢 |
|---|
| まつげパーマ&アイブロウ |
| まつげパーマ |
| アイブロウ(眉毛) |
| まつげエクステ |
| パリジェンヌラッシュリフト |
| ハリウッドブロウリフト |
| 選択肢 |
|---|
| 目が小さく見えるのが気になっていた |
| まつげが下向きだった |
| メイクに時間がかかっていた |
| 以前のサロンで持ちが悪かった |
| 眉の形が決まらなかった |
| 特に困っていませんでした |
| 選択肢 | |
|---|---|
| 半個室で落ち着く | 仕上がりが好み |
| また来たい | 左右がそろっている |
| 顔が明るく見える | 施術中が楽だった |
| 提案がわかりやすい | もちの説明があった |
| 店内がきれい | 予約が取りやすい |
| 料金がわかりやすい | |
図表③:自店の選択肢一覧
ここが、いちばん考えたところです。
選択肢は、お客様が押せるものしか出てきません。つまり選択肢に入れていない言葉は、1件も集まりません。
だから、こう決めました。
店が言いたいことではなく、お客様が実際に言っていた言葉を並べる。
分かりやすいのが2つ目の質問です。「まつげが下向きだった」「以前のサロンで持ちが悪かった」。これは店側の言い方ではありません。予約のときや、施術中に、お客様がそのまま口にしている言葉です。
店側の言葉で書くと、こうなります。
| 店の言葉 | お客様の言葉 |
|---|---|
| カールの角度が合っていなかった | まつげが下向きだった |
| リペアサイクルが短い | 以前のサロンで持ちが悪かった |
| 骨格に沿ったデザイン | 眉の形が決まらなかった |
図表③-2:店の言葉とお客様の言葉
左を並べると、お客様は自分のことだと思いません。押されません。
1つ目の質問にも同じ考えを入れています。「アイブロウ(眉毛)」と、両方の書き方を1つの選択肢に入れてあります。同じ施術でも、人によって呼び方が違うからです。この話は別の記事に書きました(→ ホットペッパーで「眉毛」と検索したら、うちは58位だった)。
3つ目の「半個室で落ち着く」も、うちにしか入れられない選択肢です。どこの店にも当てはまる言葉だけ並べると、どこの店にも当てはまる口コミしか集まりません。
ここが本題です。
ポップは置いてあります。道具も用意しました。それでも、お客様は自分から「口コミ書きます」とは言いません。
言うわけがないんです。会計中ですから。
置いてあるものが使われるまでには、掛け算が4回あります。
4回も掛けたら、残るのはごくわずかです。
声をかけると、最初の3つが飛びます。
お帰りのときに、ポップを見せながらこう言っています。
図表④:声をかけるタイミングと、言っていること
ポップを読み上げながら説明する形です。だから受付台に置いてあります。手に取って見せられる位置でないと、この言い方ができません。
ポイントは「3クリックで完了します」を必ず言うことです。お客様が身構えるのは「文章を書かされる」と思ったときなので、そこを先に消します。
実際に、うちの画面で作ってみた文章です。
選んだのは「まつげパーマ&アイブロウ」「まつげが下向きだった」「眉の形が決まらなかった」「半個室で落ち着く」「仕上がりが好み」「また来たい」。
恵比寿でまつげパーマを受けました。下向きだったまつげが立ち上がり、眉の形も整って仕上がりが好みです。半個室という落ち着いた空間での施術で、リラックスしながら過ごすことができました。眉毛の形が決まらなかったことが気になっていたのですが、こちらの希望をしっかり聞いてくれて、バランスの良い仕上がりになったので満足しています。また来たいと思います。
図表⑤:できあがった文章
見てほしいのは、選んだ言葉が全部そのまま入っていることです。「下向き」「眉の形」「半個室」。
「ありがとうございました。また来ます」だけの口コミが100件あっても、この店が何をする店で、どんな人が来ているのかは伝わりません。選択肢を悩みの言葉にしておくと、そこが残ります。
冒頭に「恵比寿で」と地名が入るのも、意図してそうなる形にしています。
出てきた文章を、こちらから自動でGoogleに送ることはしません。
お客様が読んで、自分で貼ります。ひと手間増えますが、ここは削っていません。
理由は単純で、読まない仕組みにすると、事実と違う文章が載るからです。選んでいないことが文章に混ざることがあります。誰も読まないまま投稿されたら、店のページに身に覚えのない文章が増えていきます。
口コミが増えても、中身が違っていたら意味がありません。
お客様が読めば気づきます。違えば「別の文章を作る」を押せば、また新しいものが出てきます。文章を直接書き換えることもできます。
中身を決めるのは、最後までお客様です。
| 要るもの | 補足 |
|---|---|
| ポップ1枚 | QRコード入り。手書きでも構いません |
| Googleのクチコミ投稿URL | Googleビジネスプロフィールから取れます |
| 選択肢のセット | お客様が実際に言っている言葉で |
| 声をかける人 | ここが抜けると、全部止まります |
図表⑥:用意するものチェックリスト
上の3つは1日で揃います。4つ目だけが、毎日続く仕事です。
うちがこれから記録しようとしているのは、2つです。
分けて数えないと、どこで止まっているか分かりません。
声をかけた数が少ないなら、店の運用の問題です。声はかけているのに投稿が増えないなら、その先で止まっています。打ち手がまったく変わります。
「仕組みがあること」と「使われていること」は、別のことです。うちは今、そこを数え始めたところです。