内装で、いちばん想定外だったことは何でしたか。
正直に言うと、内装そのものに想定外はありませんでした。
打ち合わせで決めきったので、追加費用も工期の遅れもなかったんです。
じゃあ、何もなかったんですか?
ありました。ただ、全部「内装」ではなく「建物」の話だったんです。
うちはマンションの一室です。もとは、人が住んでいた部屋でした。
住居を店にすると、住居の部分が残ります。そこで起きたことを書きます。
この記事の内容
先にまとめておきます。うちで起きたのは、この3つです。
どれも図面には出てきません。打ち合わせでも話題になりませんでした。
内装業者さんは「工事のプロ」です。
「その部屋に住んでいた人がいた」という前提は、こちらが持っておくものだと思いました。
工事では、壊すものが出ます。うちも、襖(ふすま)や枠を外しました。
壊したものは、捨てるんじゃないんですか?
捨てられないものがあります。
退去のときに、元に戻すからです。だから外したものは取っておくことになります。
風呂場が、その置き場所になりました。
木の板などを入れて、開かずの間にしています。
笑い話のようですが、これは先に考えておくべきことでした。
倉庫やバックヤードがあることが多いです。置き場所を作りやすい。
全部が営業スペースです。置き場所を作ると、そのぶん店が狭くなります。
図面を見るときに、「外したものをどこに置くか」を1回考えてみてください。うちは結果的に風呂場で済みましたが、風呂場のない物件なら、店の中に置くことになります。ここは契約前に、内装業者さんに「外したものはどうしますか」と聞いておくといいです。
これは、知らなかったら確実にやられていた話です。
風呂場の排水口に、ラップを敷いておく。
敷いていないと、下水のにおいが上がってきます。
ラップ、ですか。
ラップです。理由は「風呂を全然使わないから」と聞きました。
排水口には水がたまっていて、それがフタの代わりになっているそうです。使わないと、その水がなくなる。そうすると、下から上がってくる。
住居なら、毎日お風呂を使います。だからこの問題は起きません。店にすると、風呂は使いません。そこで初めて出てくる問題です。
使わない排水口があるなら、そこは全部同じ話です。
正確な仕組みや対処法は、物件の設備によって変わります。私は「ラップを敷いておくといい」と教わってそうしていますが、建物によっては別の対応が必要かもしれません。気になる場合は管理会社や施工業者に確認してください。ここで言いたいのは「使わない水回りは、放っておくと問題が出る」ということです。
これは、はっきり書きます。
トイレの水の流れが、一度すぐ壊れました。
業者さんにすぐ直してもらいました。
工事のせいですか?
原因はともかく、使いはじめてすぐでした。
トイレは、前の入居者がずっと使っていた設備です。そのまま引き継ぐことが多い。いちばん古いまま残るのが、水回りなんです。
引渡しのとき、トイレの水を実際に流してください。
1回ではなく、何回か。タンクに水がたまるまでの時間も見てください。
お客様が使う場所です。開けてから壊れると、営業中に止まります。そして、まつげサロンのお客様は女性がほとんどです。トイレが使えないのは、それだけで印象が変わります。
もうひとつ、トイレの話です。こちらは「後悔」のほうです。
お店には、とても満足しています。変えたいところは、ほとんどありません。
強いて言うなら、トイレが無機質なところです。
もっと「お店のトイレ」らしくしたかった。でも、そこは削りました。
予算です。トイレは「通る場所」だと判断しました。
お客様は、そこで一人になります。短い時間ですが、止まる場所ではあります。
トイレは、あとから直せます。
工事で作り込まなくても、ミラー・照明・小物・香りで印象は変えられます。開けてから、余裕ができたときでいい。
私はここを削ったこと自体は、間違いだったと思っていません。ただ「あとで手を入れる場所」としてリストに残しておくべきでした。
うちの部屋には、住居のときの建具が残っていました。
外す/残す/壊す。この3つを、1つずつ決めます。
残せば、そのぶん安く済みます。
敷居って、残っていると気になりませんか?
そこは「どこの敷居か」によります。
お客様が通る場所なら直す。そうでないなら、残していい。ここでも「通る場所か、止まる場所か」で判断できます。
親記事に書いたとおり、うちは壁紙を全面張り替えていません。もともとの壁を活かせるところは、そのまま使っています。
それ、ちぐはぐになりませんか。
古い壁と、新しく作ったところで、色が違うと思うんですが。
そこは、順番を逆にしました。
新しく入れるものの色を、既存の壁紙に合わせて選んだんです。
半個室の衝立
パウダールームのテーブル
ふつうは「内装のイメージ」を先に決めて、そこに材料を合わせます。でも、既存の壁を残すなら、逆です。残す壁がいちばん動かせないので、そこから色を拾う。
好きな色から決められます。そのぶん、費用がかかります。
残す壁から色を拾います。選べる幅は狭くなりますが、費用は下がります。
色選びは、業者さんから提案してもらった壁紙をもとに決めました。自分でゼロから探すより、そのほうが早いです。
最後に、開けたあとの話です。
まつげサロンは薬剤を使います。そしてマンションの一室は、窓が少ないです。
工事のときに決めることではありませんが、「換気をどうするか」は間取りの段階で見ておくところです。
においは、自分では分からなくなります。
毎日いるので、慣れます。だから、道具でやります。気合いでは無理です。
換気は、内見のときに見るところでもあります。窓が開くか、換気扇があるか。内見チェックリストの「部屋の中で見るところ」に入れてあります。
マンションの一室でも、まつげサロンはできますか?
できます。うちがそうです。ただし「もとは人が住んでいた部屋」だという前提は持っておいてください。この記事に書いたことは、全部そこから来ています。管理規約・貸主の了解・保健所の要件については親記事の記事3に書きました。
壊したものは、捨てられないんですか?
退去のときに元に戻すなら、取っておくことになります。うちは襖などを外して保管しました。問題は置き場所です。マンションの一室は全部が営業スペースなので、置き場所を作ると店が狭くなります。うちは風呂場が物置になりました。契約前に、内装業者さんに「外したものはどうしますか」と聞いておいてください。
使わない風呂場は、放っておいていいですか?
よくないです。私は「排水口にラップを敷いておく」と教わりました。使わないと、排水口の水がなくなって、下水のにおいが上がってくるそうです。住居なら毎日使うので起きませんが、店にすると使いません。洗面台やキッチンの排水も同じです。対処法は建物によって変わるので、管理会社や施工業者に確認してください。
引渡しのときに、必ず見るべきものはありますか?
トイレの水を流してください。1回ではなく何回か。タンクに水がたまる時間も見てください。うちは使いはじめてすぐ壊れて、直してもらいました。トイレは前の入居者がずっと使っていた設備で、いちばん古いまま残る場所です。営業中に止まると、そのまま印象になります。
トイレは、作り込んだほうがいいですか?
予算があるならそのほうがいいと思いますが、うちは削りました。そこは間違いだったとは思っていません。ただ、「あとで手を入れる場所」としてリストに残しておくべきでした。工事しなくてもミラー・照明・小物・香りで印象は変えられます。開けてから、余裕ができたときで大丈夫です。
襖や敷居が残っている部屋は、避けたほうがいいですか?
避けなくていいです。むしろ「残せば安くなる」要素です。襖・まぐさ・敷居を、外す/残す/壊すで1つずつ決めます。うちは襖を外して保管、まぐさは解体、敷居は既存のままにしました。判断は「お客様が通る場所かどうか」です。
壁紙を全面張り替えないと、ちぐはぐになりませんか?
なりません。順番を逆にすればいいだけです。うちは新しく入れるもの(半個室の衝立、パウダールームのテーブル)の色を、既存の壁紙に合わせて選びました。残す壁がいちばん動かせないので、そこから色を拾う。色の候補は業者さんから提案してもらいました。
においは、どう対処していますか?
少し窓を開ける・スタッフルームの換気扇を回す・空気清浄機を置く。この3つです。においは、毎日いると自分では分からなくなります。だから気合いではなく道具でやります。換気の条件は内見のときに見ておくところでもあります。
1. 想定外は「内装」ではなく「建物」で起きる。もとは人が住んでいた部屋だから
2. 壊したものを、どこに置くか。うちは風呂場が物置になった
3. 使わない水回りは、においが上がってくる(うちは排水口にラップ)
4. 引渡しで、トイレの水を何回か流す。うちはすぐ壊れた
5. トイレはあとから直せる。ただし「あとで手を入れる場所」としてリストに残す
6. 住居の建具(襖・まぐさ・敷居)は外す/残す/壊すを1つずつ。残せば安い
7. 既存の壁を活かすなら、新しく入れるものの色を、壁から拾う
8. においは道具でやる。自分の鼻は慣れて分からなくなる
風呂場が物置って、想像していませんでした。
誰も教えてくれません。図面にも出てきません。
ただ、知っていれば「どこに置きますか」と一言聞くだけのことです。
次は、見積書をどう読んで、どう削ったか。そして工事がはじまってからの話です。
この記事は、私自身が2025年に恵比寿のマンションの一室でまつげサロンを開業した経験をもとに書いています。建物の設備・排水の仕組み・原状回復の条件は、物件ごとに大きく異なります。排水やにおいへの対処、設備の不具合については管理会社・貸主・施工業者にご確認ください。私は建築や設備の専門家ではありません。美容所として必要な設備要件は所轄の保健所にご相談ください。
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