CALM TOKYO開業ロードマップ
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図面は、ここを見る
動線・照明・コンセント

実際の天伏図を1枚、そのまま出します。
この紙に、決めたことが全部のっています。

↑ この記事の親まつげサロンの内装|削るところと、削らないところ
アイリストさん

図面って、どう見ればいいんでしょうか。

業者さんから出てきても、線がいっぱいで……「はい、これでお願いします」しか言えなくて。

阿部

全部を読む必要はありません。見るところは3つだけです。

動線・照明・コンセント。この3つだけ見てください。

3つ……。なぜその3つなんですか?

この3つだけが、あとから直せないからです。

壁紙は貼り替えられます。家具も買い替えられます。でも、動線とコンセントの位置は、工事が終わったら動かせません。

この記事の内容

  1. 実際の図面を、1枚そのまま出します
  2. お客様の動線 ── 止まる場所は2つだけ
  3. スタッフの動線 ── お客様の前は、絶対に横切らない
  4. ベッドを、斜めに振った理由
  5. 照明は、3か所で役割が違います
  6. 明るさは、あとから足しました
  7. コンセントは、施術者の後ろに
  8. 図面を出してもらう前に、伝えたこと
  9. よくある質問
  10. まとめ

実際の図面を、1枚そのまま出します

うちの天伏図(てんぷくず)です。天井を見上げたときの図で、照明とコンセントの位置が書かれています。

CALM TOKYO 新装工事の天伏図。シーリングライト4台とブラケットライト3台、コンセントの位置が記され、余白に手書きの要望が書き込まれている
細かくて読めなくて大丈夫です。見てほしいのは、右側の手書きの文字です。ここに、この記事で書くことが全部入っています。
この1枚から読めること

シーリングライト4台/ブラケットライト3台
コンセントの位置と高さ(H300・H800)
施術ベッド2台が、斜めに振ってある
そして手書きの要望

部屋の構成はこうです。

図この図面に入っている部屋6つ
  • 施術スペース(2部屋・計4台)
  • 受付・待合
  • 消毒室 保健所の要件にかかわる部屋
  • パウダールーム
  • トイレ
  • スタッフルーム(バックヤード)

上が入口です。マンションの一室なので、もとは住居の間取りでした。

お客様の動線 ── 止まる場所は2つだけ

お客様が、ドアを開けてから帰るまでの順番です。

あれ。会計はどこですか?

会計は、施術ベッドでやることが多いです。

だから決済端末は、置き型ではなく持ち運べるものを選びました。そのほうが便利だからです。

ここは、設備の選び方に効きます

動線が決まると、置く機械が変わります。
「受付で会計する」なら据え置き型でいい。「ベッドで会計する」なら、持ち運べるものでないと成立しません。

親記事に「通る場所は削れる。止まる場所は削れない」と書きました。この動線でいうと、止まる場所は受付・施術ベッド・パウダールームの3か所です。

CALM TOKYO 恵比寿本店の受付。白いカウンターと、アーチ型の開口にカーテン
受付です。左のガラス格子のドアが入口。奥のアーチ型の開口にカーテンが掛かっているのが、スタッフルームへの入口です(次の項)。

スタッフの動線 ── お客様の前は、絶対に横切らない

お客様の動線とは別に、スタッフの動線があります。ここで決めたことは2つです。

お客様の前は、絶対に横切らない

常に後ろを通ります。

まつげの施術は、横になって目を閉じている時間です。人が前を通る気配は、なるべく消したい。

スタッフルームは、見えないようにする

バックヤードはカーテンで仕切りました。

仕事中の荷物や私物が見えると、それだけで店の空気が変わります。

この2つは、図面を引く前に伝えました。

あとから「ここを通らないようにしたい」と言っても、もう壁が立っています。

ベッドを、斜めに振った理由

図面をよく見ると、施術ベッドが壁と平行に置かれていません。斜めに振ってあります。

これ、デザインですか?

違います。理由は2つあります。

斜めにした理由

1. カーテンで仕切るため
2. 広さの都合。斜めにすることで、施術しやすくなるから

壁と平行に並べると、ベッドとベッドのあいだに通路が要ります。斜めに振ると、施術者が立つ側にスペースが寄ります。同じ広さでも、動ける幅が変わります。

施術スペース。リクライニングチェア2台と、天井を走るカーテンレール
施術スペースです。天井にカーテンレールが走っているのが見えます。壁ではなくカーテンで仕切っているので、ベッドの向きは自由に決められました。

ベッドの向きは、施術する人が決めるべきです。うちは、アイリストである妻が「施術しやすいように」という条件を、打ち合わせのときに伝えました。業者さんが引いた案に乗ったのではなく、こちらから出したということです。

照明は、3か所で役割が違います

天伏図に書いてある照明は、2種類・7台です。

灯図面に書かれている照明7台
  • シーリングライト × 4台 施術スペース・受付・通路
  • ブラケットライト × 3台 パウダールームに3台

同じ「照明」でも、置く場所で役割がまったく違います。

施術スペース|手元が見えること

ここは、明るさが技術に直結します。

まつげの施術は、細かい作業です。暗いと、それだけで仕事にならない。

パウダールーム|顔がきれいに映ること

ここは、お客様が最後に自分の顔を見る場所です。

だからブラケットライトを3台。この店でいちばん照明にお金をかけた場所です。

パウダールーム。丸い鏡3枚と、壁に光の模様を広げるブラケットライト3台、大理石調のカウンター
パウダールームです。ブラケットライトは、壁に光の模様が広がるタイプを選びました。鏡3枚・カウンター・スツール3脚で、3人並べます。

ここだけ、空気が違いますね。

そこは狙っています。

親記事に書いたとおり、化粧台は削らなかった場所です。造作にして、壁に固定して、ミラーをつけました。

照明も、そこに合わせています。

→ なぜここを削らなかったか削らなかったもの ── ここでコンセプトが出ます

明るさは、あとから足しました

ここは、正直に書きます。

照明の明るさは、業者さんに確認して決めました。「どれくらいの明るさなら大丈夫か」を聞いています。保健所の基準もあったと思います。

じゃあ、天井の照明で足りたんですね。

足りませんでした。

開けたあとに、施術用のライトを買い足しています。

「明るいほうが、やはり施術しやすい」と妻が言ったからです。

ここが、この記事でいちばん実用的なところ

基準を満たす明るさと、施術しやすい明るさは、別です。
天井の照明は「部屋を明るくするもの」。手元を照らすライトは、別に要ります。

これは、あとから買い足せます。だから工事の段階で悩まなくて大丈夫です。ただ、「あとから施術用のライトを足すことになる」と知っておくと、予算の組み方が変わります。

照明の基準は、地域や物件によって扱いが変わります。美容所として必要な照度については、図面ができた段階で所轄の保健所に確認してください。ここは私の記憶で書いているので、必ずご自身で確かめていただきたい部分です。

コンセントは、施術者の後ろに

図面の右側にある、手書きの文字です。ここが、この1枚でいちばん大事なところだと思っています。

図面に手書きで書いた要望

「施術者の右か左隣にワゴンを置くので、ワゴンのコンセントを差す場所を、施術者の後ろあたりに欲しい」

こんな細かいことまで、先に言うんですか。

先に言わないと、間に合いません。

コンセントは壁の中を配線します。工事が終わってから「ここに欲しい」と言っても、もう壁が閉じています。

そして延長コードを床に這わせることになります。お客様が歩く場所に、コードが出るということです。

この一文が書けた理由

「ワゴンをどこに置くか」を、先に決めていたから。
ワゴンの位置が決まると、コンセントの位置が決まります。逆はできません。

実際に使ってみて、足りないところはありませんでした。半個室によって、後ろにある場所と前にある場所があります。部屋の形に合わせて変えてもらっています。

半個室。天井まで届かない高さの衝立と、リクライニングチェア、ステージ
半個室です。チェアの右側の壁に、コンセントが見えます。この位置が「施術者の後ろあたり」です。衝立は天井まで作っていません(親記事のH1400)。

図面を出してもらう前に、伝えたこと

ここまでのことは、全部、図面が出てくる前に伝えています。

先図面の前に、こちらから出したこと5つ
  • コンセプト どういう店にしたいか
  • 施術しやすい動線 アイリストである妻が出した条件
  • お客様の前を横切らない
  • スタッフルームを見せない
  • ワゴンをどこに置くか → コンセントの位置が決まる

設計は業者さんにしてもらいました。でも、条件はこちらから出しています。

「おまかせします」と言うと、おまかせした部分が全部、標準の形で返ってきます。それが悪いわけではありませんが、まつげサロンの現場を知っているのは、こちらです。

打ち合わせの前に、1つだけ準備するなら

コンセプトとターゲットを、きっちり説明できるようにしておくこと。
そして「こんな内装がいい」という写真を何点か持っていくのもおすすめです。

言葉だけだと、伝わりません。写真があると、そこから話が早くなります。

→ コンセプトの決め方はこちら事業計画書はどう書くのか|14ページを、埋める順番で

よくある質問

図面のどこを見ればいいですか?

動線・照明・コンセントの3つだけ見てください。理由はこの3つだけが、あとから直せないからです。壁紙は貼り替えられますし、家具も買い替えられます。でも動線とコンセントの位置は、工事が終わったら動かせません。

間取りは、業者さんにおまかせでいいですか?

設計はおまかせでいいですが、条件はこちらから出してください。うちは、アイリストである妻が「施術しやすい動線」を打ち合わせのときに伝えています。まつげサロンの現場を知っているのは、こちらです。おまかせにすると、おまかせした部分が全部、標準の形で返ってきます。

ベッドは、壁と平行に置くものではないんですか?

うちは斜めに振っています。理由は2つ。カーテンで仕切るためと、広さの都合で、斜めにすると施術しやすくなるためです。壁ではなくカーテンで仕切ると、ベッドの向きを自由に決められます。

スタッフの動線で、気をつけることはありますか?

2つです。お客様の前を絶対に横切らないこと(常に後ろを通る)。そしてスタッフルームを見せないこと(うちはカーテンで仕切りました)。どちらも図面を引く前に伝える必要があります。あとからでは壁が立っています。

照明は、天井のもので足りますか?

足りませんでした。うちは開けたあとに施術用のライトを買い足しています。「明るいほうがやはり施術しやすい」と妻が言ったからです。基準を満たす明るさと、施術しやすい明るさは別だと思ってください。ただしあとから足せるので、工事の段階で悩まなくて大丈夫です。

パウダールームの照明は、こだわるべきですか?

うちはこだわりました。ブラケットライトを3台。お客様が最後に自分の顔を見る場所だからです。施術がよくても、最後に見た自分の顔の印象が悪ければ、その日の記憶はそちらになります。親記事の「止まる場所は削れない」が、そのまま当てはまります。

コンセントの位置は、どうやって決めればいいですか?

「ワゴンをどこに置くか」を先に決めてください。ワゴンの位置が決まると、コンセントの位置が決まります。逆はできません。うちは図面の余白に手書きで「ワゴンのコンセントを差す場所を、施術者の後ろあたりに欲しい」と書きました。あとから言うと、延長コードを床に這わせることになります。

打ち合わせの前に、何を準備すればいいですか?

何を聞きたいか。自分が譲れないものは何か。そしてコンセプトとターゲットを、きっちり説明できるようにしておくことです。あわせて「こんな内装がいい」という写真を何点か持っていくと、話が早くなります。言葉だけだと、伝わりません。

まとめ

持ち帰ってほしいこと

1. 図面で見るのは動線・照明・コンセントの3つだけ。この3つがあとから直せない

2. お客様が止まる場所は、受付・施術ベッド・パウダールーム

3. 会計をベッドでするなら、決済端末は持ち運べるもの。動線が機械を決める

4. スタッフはお客様の前を横切らない。スタッフルームは見せない

5. ベッドは斜めでいい。カーテンで仕切るなら、向きは自由に決められる

6. 照明は場所で役割が違う。手元を照らす/顔をきれいに映す

7. 基準を満たす明るさと、施術しやすい明るさは別。施術用ライトはあとから足せる

8. ワゴンの位置が決まると、コンセントの位置が決まる。逆はできない

9. 設計はおまかせでいい。条件はこちらから出す

10. 打ち合わせにはコンセプトと、イメージの写真を持っていく

ワゴンの位置から決めるって、考えたこともありませんでした。

紙に間取りを書いて、自分が立つ場所に印をつけてみてください。

そこから見て、手が届く範囲に何が要るか。それが図面に書く言葉になります。

次は、マンションの一室でやると何が起きるかの話です。ここは、正直に書きます。

↑ この記事の親にもどるまつげサロンの内装|削るところと、削らないところ

この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業した経験と、そのときに内装業者に作成いただいた図面をもとに書いています。掲載している図面は許可を得て公開しています。間取り・照明・電気の要件は、物件ごと・地域ごとに異なります。美容所として必要な照度や設備については所轄の保健所に、工事の可否や配線については施工業者・管理会社にご確認ください。私は建築士でも電気工事士でもありません。

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阿部弘康

阿部 弘康

株式会社CALM TOKYO 代表取締役
恵比寿でまつげパーマ&眉毛アイブロウサロンを運営

美容業界18年。化粧品メーカーの営業、美容サロン専門の広告会社を経て、サロン専門のコンサルタントとして独立しました。集客に関する書籍を2冊出しています。
2025年、恵比寿に自分たちの店を開きました。技術は、表参道で17年やってきたアイリストの妻が。経営とマーケティングは私が見ています。人の店を見てきた側と、自分で開いた側。その両方から書いています。

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