図面って、どう見ればいいんでしょうか。
業者さんから出てきても、線がいっぱいで……「はい、これでお願いします」しか言えなくて。
全部を読む必要はありません。見るところは3つだけです。
動線・照明・コンセント。この3つだけ見てください。
3つ……。なぜその3つなんですか?
この3つだけが、あとから直せないからです。
壁紙は貼り替えられます。家具も買い替えられます。でも、動線とコンセントの位置は、工事が終わったら動かせません。
この記事の内容
うちの天伏図(てんぷくず)です。天井を見上げたときの図で、照明とコンセントの位置が書かれています。
シーリングライト4台/ブラケットライト3台
コンセントの位置と高さ(H300・H800)
施術ベッド2台が、斜めに振ってある
そして手書きの要望
部屋の構成はこうです。
上が入口です。マンションの一室なので、もとは住居の間取りでした。
お客様が、ドアを開けてから帰るまでの順番です。
あれ。会計はどこですか?
会計は、施術ベッドでやることが多いです。
だから決済端末は、置き型ではなく持ち運べるものを選びました。そのほうが便利だからです。
動線が決まると、置く機械が変わります。
「受付で会計する」なら据え置き型でいい。「ベッドで会計する」なら、持ち運べるものでないと成立しません。
親記事に「通る場所は削れる。止まる場所は削れない」と書きました。この動線でいうと、止まる場所は受付・施術ベッド・パウダールームの3か所です。
お客様の動線とは別に、スタッフの動線があります。ここで決めたことは2つです。
常に後ろを通ります。
まつげの施術は、横になって目を閉じている時間です。人が前を通る気配は、なるべく消したい。
バックヤードはカーテンで仕切りました。
仕事中の荷物や私物が見えると、それだけで店の空気が変わります。
この2つは、図面を引く前に伝えました。
あとから「ここを通らないようにしたい」と言っても、もう壁が立っています。
図面をよく見ると、施術ベッドが壁と平行に置かれていません。斜めに振ってあります。
これ、デザインですか?
違います。理由は2つあります。
1. カーテンで仕切るため
2. 広さの都合。斜めにすることで、施術しやすくなるから
壁と平行に並べると、ベッドとベッドのあいだに通路が要ります。斜めに振ると、施術者が立つ側にスペースが寄ります。同じ広さでも、動ける幅が変わります。
ベッドの向きは、施術する人が決めるべきです。うちは、アイリストである妻が「施術しやすいように」という条件を、打ち合わせのときに伝えました。業者さんが引いた案に乗ったのではなく、こちらから出したということです。
天伏図に書いてある照明は、2種類・7台です。
同じ「照明」でも、置く場所で役割がまったく違います。
ここは、明るさが技術に直結します。
まつげの施術は、細かい作業です。暗いと、それだけで仕事にならない。
ここは、お客様が最後に自分の顔を見る場所です。
だからブラケットライトを3台。この店でいちばん照明にお金をかけた場所です。
ここだけ、空気が違いますね。
そこは狙っています。
親記事に書いたとおり、化粧台は削らなかった場所です。造作にして、壁に固定して、ミラーをつけました。
照明も、そこに合わせています。
ここは、正直に書きます。
照明の明るさは、業者さんに確認して決めました。「どれくらいの明るさなら大丈夫か」を聞いています。保健所の基準もあったと思います。
じゃあ、天井の照明で足りたんですね。
足りませんでした。
開けたあとに、施術用のライトを買い足しています。
「明るいほうが、やはり施術しやすい」と妻が言ったからです。
基準を満たす明るさと、施術しやすい明るさは、別です。
天井の照明は「部屋を明るくするもの」。手元を照らすライトは、別に要ります。
これは、あとから買い足せます。だから工事の段階で悩まなくて大丈夫です。ただ、「あとから施術用のライトを足すことになる」と知っておくと、予算の組み方が変わります。
照明の基準は、地域や物件によって扱いが変わります。美容所として必要な照度については、図面ができた段階で所轄の保健所に確認してください。ここは私の記憶で書いているので、必ずご自身で確かめていただきたい部分です。
図面の右側にある、手書きの文字です。ここが、この1枚でいちばん大事なところだと思っています。
「施術者の右か左隣にワゴンを置くので、ワゴンのコンセントを差す場所を、施術者の後ろあたりに欲しい」
こんな細かいことまで、先に言うんですか。
先に言わないと、間に合いません。
コンセントは壁の中を配線します。工事が終わってから「ここに欲しい」と言っても、もう壁が閉じています。
そして延長コードを床に這わせることになります。お客様が歩く場所に、コードが出るということです。
「ワゴンをどこに置くか」を、先に決めていたから。
ワゴンの位置が決まると、コンセントの位置が決まります。逆はできません。
実際に使ってみて、足りないところはありませんでした。半個室によって、後ろにある場所と前にある場所があります。部屋の形に合わせて変えてもらっています。
ここまでのことは、全部、図面が出てくる前に伝えています。
設計は業者さんにしてもらいました。でも、条件はこちらから出しています。
「おまかせします」と言うと、おまかせした部分が全部、標準の形で返ってきます。それが悪いわけではありませんが、まつげサロンの現場を知っているのは、こちらです。
コンセプトとターゲットを、きっちり説明できるようにしておくこと。
そして「こんな内装がいい」という写真を何点か持っていくのもおすすめです。
言葉だけだと、伝わりません。写真があると、そこから話が早くなります。
→ コンセプトの決め方はこちら事業計画書はどう書くのか|14ページを、埋める順番で図面のどこを見ればいいですか?
動線・照明・コンセントの3つだけ見てください。理由はこの3つだけが、あとから直せないからです。壁紙は貼り替えられますし、家具も買い替えられます。でも動線とコンセントの位置は、工事が終わったら動かせません。
間取りは、業者さんにおまかせでいいですか?
設計はおまかせでいいですが、条件はこちらから出してください。うちは、アイリストである妻が「施術しやすい動線」を打ち合わせのときに伝えています。まつげサロンの現場を知っているのは、こちらです。おまかせにすると、おまかせした部分が全部、標準の形で返ってきます。
ベッドは、壁と平行に置くものではないんですか?
うちは斜めに振っています。理由は2つ。カーテンで仕切るためと、広さの都合で、斜めにすると施術しやすくなるためです。壁ではなくカーテンで仕切ると、ベッドの向きを自由に決められます。
スタッフの動線で、気をつけることはありますか?
2つです。お客様の前を絶対に横切らないこと(常に後ろを通る)。そしてスタッフルームを見せないこと(うちはカーテンで仕切りました)。どちらも図面を引く前に伝える必要があります。あとからでは壁が立っています。
照明は、天井のもので足りますか?
足りませんでした。うちは開けたあとに施術用のライトを買い足しています。「明るいほうがやはり施術しやすい」と妻が言ったからです。基準を満たす明るさと、施術しやすい明るさは別だと思ってください。ただしあとから足せるので、工事の段階で悩まなくて大丈夫です。
パウダールームの照明は、こだわるべきですか?
うちはこだわりました。ブラケットライトを3台。お客様が最後に自分の顔を見る場所だからです。施術がよくても、最後に見た自分の顔の印象が悪ければ、その日の記憶はそちらになります。親記事の「止まる場所は削れない」が、そのまま当てはまります。
コンセントの位置は、どうやって決めればいいですか?
「ワゴンをどこに置くか」を先に決めてください。ワゴンの位置が決まると、コンセントの位置が決まります。逆はできません。うちは図面の余白に手書きで「ワゴンのコンセントを差す場所を、施術者の後ろあたりに欲しい」と書きました。あとから言うと、延長コードを床に這わせることになります。
打ち合わせの前に、何を準備すればいいですか?
何を聞きたいか。自分が譲れないものは何か。そしてコンセプトとターゲットを、きっちり説明できるようにしておくことです。あわせて「こんな内装がいい」という写真を何点か持っていくと、話が早くなります。言葉だけだと、伝わりません。
1. 図面で見るのは動線・照明・コンセントの3つだけ。この3つがあとから直せない
2. お客様が止まる場所は、受付・施術ベッド・パウダールーム
3. 会計をベッドでするなら、決済端末は持ち運べるもの。動線が機械を決める
4. スタッフはお客様の前を横切らない。スタッフルームは見せない
5. ベッドは斜めでいい。カーテンで仕切るなら、向きは自由に決められる
6. 照明は場所で役割が違う。手元を照らす/顔をきれいに映す
7. 基準を満たす明るさと、施術しやすい明るさは別。施術用ライトはあとから足せる
8. ワゴンの位置が決まると、コンセントの位置が決まる。逆はできない
9. 設計はおまかせでいい。条件はこちらから出す
10. 打ち合わせにはコンセプトと、イメージの写真を持っていく
ワゴンの位置から決めるって、考えたこともありませんでした。
紙に間取りを書いて、自分が立つ場所に印をつけてみてください。
そこから見て、手が届く範囲に何が要るか。それが図面に書く言葉になります。
次は、マンションの一室でやると何が起きるかの話です。ここは、正直に書きます。
この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業した経験と、そのときに内装業者に作成いただいた図面をもとに書いています。掲載している図面は許可を得て公開しています。間取り・照明・電気の要件は、物件ごと・地域ごとに異なります。美容所として必要な照度や設備については所轄の保健所に、工事の可否や配線については施工業者・管理会社にご確認ください。私は建築士でも電気工事士でもありません。
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