広告費って、月いくらで見ておけばいいんでしょうか。
ホットペッパーのいちばん安いプランなら、5万円くらいだと聞きました。
私も、まったく同じことを考えていました。
結果は、年間126万円です。月に直すと10万円を超えています。
倍以上……。それは、たくさん出稿しすぎたということですか。
それもあります。でも、いちばん効いたのは別のことでした。
広告費が増えたのではなく、お客様を受けられる枠が減ったんです。
この記事は、私がいちばん痛い思いをした話になります。
1. 広告費は「月いくら」ではなく「1名呼ぶのにいくら」で見る
2. その数字は、広告を変えなくても勝手に悪くなる。枠が減れば分母が減るからです
3. 掲載プランは、契約すると1年間下げられません。家賃と同じで、下がってくれない固定費です
この記事の内容
事業計画を作っていたとき、広告費の欄に私が入れた数字は月5万円でした。
根拠は単純です。ホットペッパービューティーのいちばん軽いプランが、だいたいその額だったからです。それ以外に何を出すのか、想像できていませんでした。
実際には、ここにminimo、楽天ビューティ、Google、Yahoo!、Instagram、LINEが乗りました。どれも「試しに少しだけ」で始めたものです。1つ1つは小さいのに、合計すると大きくなります。
1年たって、集計するとこうなりました。
合計 1,269,117円。月あたり約15万円です。
計画に書いた額の、およそ2倍でした。
内訳を先に出しておきます。エリアも業種も違えば数字は変わりますが、「何にお金が出ていくのか」の一覧としては使えると思います。
ホットペッパービューティー|掲載料 580,000円 + ネット予約手数料 36,175円
minimo|433,120円
楽天ビューティ|76,507円
Yahoo!広告|47,569円
Instagram広告|38,462円
Google広告|33,972円
LINE広告|5,312円
そのほかの媒体|18,000円
ネット予約手数料は、掲載料とは別に出ていきます。予約が1件入るごとにかかるものです。うちは年間で36,175円でした。掲載料だけを見て予算を組むと、ここが抜けます。
先に、記録の話を少しだけさせてください。この記事の数字は、全部この1枚から出しています。
やっていることは単純です。Excelに「原紙」というタブを1枚だけ作りました。媒体名と、広告費と、動員数と、計算式だけが入った空の表です。
月が変わったら、原紙タブを右クリックしてコピーして、「2025年」と名前を変えて、数字を入れるだけ。それだけです。
毎月ゼロから表を作ると、続きません。そして作り直すたびに、去年と比べられなくなります。原紙を1枚作っておくと、来年の自分が同じ形で比べられます。これは開業前に作れます。
そのうえで。月いくら払ったかを見ていても、良いのか悪いのかは分かりません。
私が毎月見ていたのは、この1本の式です。
その媒体に払った額 ÷ その媒体から来た新規のお客様の数
これで「新規のお客様を1名お迎えするのに、いくらかかったか」が出ます。
ホットペッパービューティーの数字を、そのまま出します。
3倍を超えています。
年間で平均すると1名あたり2,665円。新規のお客様の会計は、平均して5千円台でした。数字だけ見れば、まだ回っているように見えます。
でも、動いている向きが問題でした。
これは、いつ気づいたんですか。
毎月見ていたので、上がっていること自体はすぐに分かりました。
問題は、気づいてから、できることがほとんどなかったことです。
正直に書きます。この数字を人に説明するとき、私は最初こう言っていました。
「オープン景気が切れたので」「競合が増えたので」と。
言いやすい説明です。そして、うちの場合は違いました。
スタッフが減って、施術できる枠が減りました。
枠がないので、予約を受け入れられなくなりました。
結果として、新規のお客様の数が激減しました。
一人ひとりに事情があります。それは私が語ることではありません。
ここで書きたいのは、私の側の話です。
広告は、何も変えていません。掲載しているページも、クーポンも、金額も、そのままです。変わったのは、店の中でした。
同じ媒体からの新規のお客様の数を、月ごとに並べるとこうなります。
7月|54名 8月|48名 9月|35名
10月|30名 11月|19名 12月|17名
ピークの3分の1です。掲載しているプランは、その間ずっと月8万円のままでした。
さっきの式を、もう一度見てください。
払った額 ÷ 来ていただけた人数
人が抜けると、受けられる予約が減ります。つまり分母が小さくなります。
そして分子――掲載料は、1円も変わりません。
この形に、見覚えがありました。家賃とまったく同じです。
席が埋まる前提で決めていました。
人が抜けても、家賃は1円も下がりませんでした。
枠が埋まる前提で組んでいました。
枠が減っても、掲載料は1円も下がりませんでした。
家賃の話は「家賃は、いくらまでなら払っていいのか」に書きました。そこで書いた「1名で回したときの数字を持っておく」は、広告費にもそのまま当てはまります。
広告費は、変動費のような顔をした固定費です。「効かなければ止めればいい」と思っていました。止められないものがある、というのが次の話です。
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
ホットペッパービューティーの掲載プランは、契約すると1年間、変更できません。
成果が出ていない月も、枠が半分になった月も、同じ額を払い続けます。
うちは7月に月8万円のプランに上げました。次にプランを下げられたのは、ちょうど1年後の7月です。
その間に、店の状況は変わりました。でも、契約は変わりません。
これは媒体の問題ではありません。年間契約というのは、そういうものです。私が、契約の意味を軽く見ていただけです。
じゃあ、最初から安いプランにしておけばよかったということですか。
そう単純でもないんです。ここは正直に書きます。
上げたことで、良かったこともありました。
開業した5月と6月は、月5万円のプランでした。7月から、8万円に上げています。
上げた理由は、6月の数字を見たからです。
5月|新規32名/1名あたり 1,704円
6月|新規50名/1名あたり 1,226円
1名あたりが下がっていました。「出せば出るところにいる」と判断しました。
そして実際、7月は新規54名、8月は48名で、開業からのピークになりました。この判断自体は、間違っていなかったと思っています。
問題は、その先です。
8万円は、その人数を受けられる体制がある前提の額でした。
体制が崩れたときに、その8万円をどうするかを考えていませんでした。
そして、考えたときにはもう、1年間動かせない契約になっていました。
正直に書きます。そのあとの半年くらいは、本当にきつかったです。
いま同じ場面に戻れるなら、上げること自体はやります。ただ、上げる前に1行だけ決めておきます。
「この額を、いちばん人が少ない月でも払えるか」――これだけです。
1名あたりのコストは、媒体によってまったく違いました。
コストだけ見れば、minimoが圧倒的です。ホットペッパービューティーの5分の1で、しかも人数は2倍以上来ています。
それでも、両方を続けました。
minimo|呼べる数が多い。ただしお客様の会計は2千円台が中心です
ホットペッパービューティー|1名あたりは高い。ただし会計は5千円台で、そのあと戻ってきていただける割合も高い
どちらが良い悪いではありません。1回のご来店で見るか、2回目・3回目まで含めて見るかで、答えが変わります。
親記事の「まつげサロンの集客」で「価格は媒体ごとに変えていい」と書きました。理由はこれです。媒体ごとに、来ていただける方も、そのあとも違うからです。
1名あたりのコストだけで媒体を選ぶと、判断を間違えます。見るべきは3つです。呼べる数/1名あたりのコスト/そのあと戻ってきていただける割合。3つ目は、開業してしばらくしないと分かりません。だから最初は決め打ちしないほうがいいと思っています。
効かなかったものも書きます。
月3,000円の媒体を6ヶ月続けて、年間のクリックは32でした。1クリックあたり562円です。ご来店には、つながりませんでした。
始めた理由もはっきりしています。ホットペッパービューティーのページにリンクしてくれる、と聞いたからです。
その媒体が悪い、という話ではありません。うちのエリアと業種では動かなかった、というだけです。名前は出しません。
クリック単価だけを並べると、こうなりました。
Google広告|33,972円/2,781クリック=12円
Yahoo!広告|47,569円/2,266クリック=21円
Instagram広告|38,462円/849クリック=45円
LINE広告|5,312円/54クリック=98円
そのほかの媒体|18,000円/32クリック=562円
GoogleとInstagramは、途中で止めています。効かなかったからではありません。スタッフが減って、広告にお金をかけられる状況ではなくなったからです。
止められるものから止まっていきました。そして、止められないもの――年間契約の掲載料だけが残りました。
厚く置く前に、薄く試す。
そして「止められるか」を、始める前に確かめておく。
楽天ビューティのことも書いておきます。年間76,507円で26名。1名あたり2,943円です。ただし7月に5万円の初期費用がかかっていて、それを除くと1名あたりは1,000円台になります。初期費用は、1年目の数字を大きく歪めます。
最後に、順番の話です。
うちが開業前に出していた広告は、minimoの7,400円だけでした。Google、Yahoo!、Instagramは、すべて開業した翌月からです。
意図的でした。理由は2つあります。
店が開いていないので、予約を受けても施術できません。
広告で人を集めても、行き先がない状態でした。
開業前は、出ていく一方です。
売上が1円もない時期に広告費を積む判断が、できませんでした。
いま同じことをやるなら、少しだけ変えます。
広告は、やはり開業後からで良かったと思っています。ただし、お金のかからないものは全部、開業前に作ります。
Googleビジネスプロフィール|開業の90日前から作れます
公式LINE|うちも開業前に作りました。ここは正解でした
掲載媒体の原稿|開通してから書くと、いちばん人が来る時期に間に合いません
広告は出さない。準備は前倒しする。この2つは、両立します。
開業前に、広告費はいくらで見ておけばいいですか?
掲載料だけで組まないでください。うちは「月5万円」で計画して、実際は年間126万円になりました。掲載料のほかに、ネット予約手数料、リスティング広告、SNS広告、初期費用が乗ります。金額そのものより、いちばん人が少ない月でも払える額かどうかで決めてください。
広告費は、何を見て評価すればいいですか?
「その媒体に払った額 ÷ その媒体から来た新規のお客様の数」です。月いくら払ったかを見ていても、良し悪しは分かりません。この式なら「1名お迎えするのにいくらかかったか」が出るので、お客様の会計の平均と並べて見られます。
1名あたりのコストが上がってきたら、何を疑えばいいですか?
まず自分の店の枠を疑ってください。私は最初「オープン景気が切れた」「競合が増えた」と考えましたが、うちの場合は違いました。スタッフが減って、予約を受けられる枠が減っていただけです。分母が減れば、広告を1円も変えなくても数字は悪くなります。
ホットペッパービューティーの掲載プランは、途中で下げられますか?
うちの契約では、1年間変更できませんでした。7月に上げて、次に下げられたのはちょうど1年後の7月です。プランや契約の条件は媒体・時期・担当によって異なりますので、契約前に必ずご自身で確認してください。「効かなければ止めればいい」が通じない費目がある、というのがここでの話です。
掲載プランは、上げないほうがいいですか?
上げること自体は悪くありません。うちも上げて、その2ヶ月は開業からのピークになりました。問題は「上げたあと、人が減ったら」を数字にしていなかったことです。上げる前に「この額を、いちばん人が少ない月でも払えるか」だけ確かめてください。
1名あたりのコストが安い媒体だけに寄せてはいけませんか?
コストだけで選ぶと、判断を間違えます。うちの場合、1名あたりが5分の1の媒体がありましたが、そちらは会計が2千円台、もう一方は5千円台で、そのあと戻ってきていただける割合も違いました。見るべきは呼べる数・1名あたりのコスト・リピートの3つです。
効かない媒体は、どう見切ればいいですか?
始める前に「止められるか」を確かめておいてください。うちは月3,000円のものを6ヶ月続けて、年間32クリックでした。金額が小さいので止めるのは簡単でしたが、年間契約のものは、効かないと分かっても止まりません。厚く置く前に、薄く試す順番が要ります。
開業前から広告を出したほうがいいですか?
うちは出しませんでした。いまでも、その判断は変えません。店が開いていないと予約を受けても施術できませんし、売上が1円もない時期です。ただしお金のかからない準備は、全部前倒しします。Googleビジネスプロフィールは開業90日前から作れますし、公式LINEも掲載原稿も、開業前に作れます。
ネット予約手数料は、どれくらいかかりますか?
うちは年間で36,175円でした。掲載料とは別に、予約が入るごとにかかります。金額の大小より「掲載料だけ見て予算を組むと抜ける」ということのほうが大事です。料率や課金の仕方は媒体・プランによって異なりますので、契約前にご確認ください。
初期費用がかかる媒体は、1年目にどう見ればいいですか?
初期費用を分けて計算してください。うちはある媒体で年間76,507円・26名、1名あたり2,943円でしたが、そのうち5万円は初期費用でした。除くと1名あたりは1,000円台です。初期費用を混ぜたまま見ると、続けるかどうかの判断を間違えます。
1. 計画は月5万円、実際は年間126万円。掲載料以外が乗ります
2. 評価は「払った額 ÷ 来ていただけた新規の数」で見る
3. 1名あたり1,704円 → 5,596円。広告は何も変えていません
4. 上がった理由は市場ではなく、自分の店の枠が減ったこと
5. 分母が減っても、掲載料は1円も下がらない
6. 掲載プランは1年間下げられない。広告費は、固定費として見る
7. プランを上げるなら「いちばん人が少ない月でも払えるか」を先に確かめる
8. 媒体は呼べる数・1名あたり・リピートの3つで見る。安いほうが正しいとは限りません
9. 厚く置く前に、薄く試す。そして「止められるか」を先に確かめる
10. 広告は開業後から。準備は開業前に前倒しする
広告費を、家賃と同じ棚に置く。そういう見方をしたことがありませんでした。
私も、置いていませんでした。払ってから気づきました。
広告は、増やすときの判断より減らせないときの判断のほうが重いです。契約書の「期間」の行を、私はほとんど読んでいませんでした。
この記事だけ読んで怖くなった方へ。お金をかけずにできることは、まだたくさんあります。Googleビジネスプロフィールの記事に書いたことは、1円もかからず、しかも止める必要がありません。そちらも読んでみてください。
この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業したあと、実際に記録していた広告宣伝費と集客数の管理表をもとに書いています。掲載している金額・人数・単価は、すべて当社1店舗の実績であり、エリア・業種・時期・店舗規模によって大きく変わります。掲載プランの契約期間、料金、ネット予約手数料の料率、変更や解約の条件は媒体・プラン・契約時期によって異なり、また改定されることがあります。必ずご自身で最新の契約条件をご確認ください。当社は各媒体の代理店ではなく、特定の媒体を推奨・非推奨する目的でこの記事を書いてはいません。本記事の内容は、成果を保証するものではありません。
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