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オンライン面接の30分を、設計する
聞くこと、聞いてはいけないこと

店がないから、オンラインにしました。
そのとき作った30分の割り方を、そのまま出します。

↑ この記事の親まつげサロンの求人|何もない状態で、何を見せるか
アイリストさん

面接って、何を聞けばいいんでしょうか。

雇う側になったことがなくて。30分あっても、間が持つ気がしません。

阿部

30分を、5分ずつ6つに割ってください。それだけで持ちます。

うちが実際に使った割り方を、そのまま出しますね。

ありがとうございます。逆に、聞いちゃいけないことってありますか?

あります。そこも一覧にしてあります。

正直に書くと、私も調べて初めて知りました。「へえ」と思ったのを覚えています。

この記事の結論

1. 30分を5分ずつ6つに割る。前半は相手の話、後半はこちらの話

2. 聞いてはいけない質問がある。知らないと、悪気なく聞いてしまいます

3. 面接で見えることには限りがある。見えなかったものも書きます

この記事の内容

  1. 面接する場所が、ありませんでした
  2. 30分を、5分ずつ6つに割った
  3. 前半15分 ── 相手の話を聞く
  4. 後半15分 ── こちらの話をする
  5. 聞いてはいけない質問
  6. 評価シートに記入しながら話した
  7. 崩れていい。ただし戻れるように
  8. 1回では、見えなかったこと
  9. 採用が決まったあと ── 書類は11点になりました
  10. よくある質問
  11. まとめ

面接する場所が、ありませんでした

親記事に書いたとおり、うちが求人を出したのは開業の2ヶ月前です。

店はまだ工事中でした。面接をする場所がありません。

うちがやったこと

1回目 オンラインで話す(30分)
2回目 時間貸しのシェアサロンを借りて、技術チェック

オンラインにしたのは、場所がなかったからです。でも、やってみると場所の問題だけではありませんでした。

店があってもオンラインを1回目に置く価値はあると思っています。うちは店ができたあとも、オンライン面接を残しました。会うのは、お互いその気になってからで間に合います。

30分を、5分ずつ6つに割った

実際に使った割り方です。

オンライン面接30分の時間割。アイスブレイク・志望動機・技術と接客・条件と通勤・サロン紹介・クロージングの6つに5分ずつ割られている
前半15分が相手の話、後半15分がこちらの話です。この順番には理由があります。

これは、どうやって作ったんですか。

AIと壁打ちして作りました。

私は面接をされる側の経験はありますが、自分の会社で採る側は初めてでした。型がなかったんです。

だから「30分の面接構成を作りたい」と相談して、出てきたものを自分の店に合わせて直しました。

ひとつ、順番の話をします。

なぜ、こちらの話を後半に置くのか

先に店の説明をすると、相手の答えがそれに寄るからです。

「うちは丁寧な施術を大事にしています」と先に言うと、
そのあと「私も丁寧さを大事にしていて」と返ってきます。本当かどうかが分からなくなります。

前の記事で「求人票の給与の話は最後に置いた」と書きました。面接も同じ構造です。先に条件や理念を出すと、相手はそれに合わせます。

前半15分 ── 相手の話を聞く

0〜5分 アイスブレイク

画面と音声の確認から入ります。そして天気の話をします。

実際に使っていた言葉

「本日はお時間いただきありがとうございます」
「いま、どちらからですか」
「WEB面接って緊張しますよね(笑)、リラックスしていきましょう」

3つ目は、こちらが緊張をほぐすためでもあります。面接は、こちらも初めてでした。

5〜10分 志望動機と、いまの状況

10〜15分 技術と接客

後半15分 ── こちらの話をする

15〜20分 働く条件と、通勤

ここは、聞き方に気をつけたところです。

言わない

「遠いですね、通えますか?」

決めつけになります。

こう聞く

「恵比寿までの通勤、大変じゃないかなと少し心配ですが、どう思われますか?」

心配を示したうえで、判断は相手に渡します。

通勤時間は、こちらが決めることではありません。本人が「通える」と思っているなら、それが答えです。

20〜25分 サロン紹介とビジョン

ここで、親記事に書いた16ページの会社概要スライドを画面共有します。

話すのは3つです。

25〜30分 クロージングと逆質問

実際に使っていた言葉

「本日お話してみて、何か気になる点はありますか?」
「実際のサロンや、働く人たちを見てもらえたら嬉しいです」
「もしよろしければ、次回はぜひ直接お話できたらと思います」

この30分のゴールは、その場で決めることではありません。

オンライン面接のゴール

「このサロン、もっと話を聞いてみたい」と思ってもらうこと。

ここを取り違えると、面接が試験になります。相手も、こちらを選んでいます。

聞いてはいけない質問

ここは、開業前の人がいちばん知らないところだと思います。

私も知りませんでした。調べていて出てきて、「へえ」と思ったのを覚えています。

5面接で聞かないなぜ
  • 家族構成 「結婚してますか」「お子さんいますか」
    本人の能力と関係がありません
  • 宗教・思想 「信仰しているものはありますか」
    思想・信条は本人の自由です
  • 病歴・障がい 「持病はありますか」
    健康状態の確認は、慎重に扱うところです
  • 出身地・本籍 「どこ出身ですか」「本籍は」
    本籍・出生地は、就職差別につながるとされています
  • 年齢や性別への偏見 「女性だと体力的にどうですかね」
    ハラスメントと受け取られます

「どこ出身ですか」って、雑談で普通に聞いてしまいそうです……。

そこなんです。悪気がないから、余計に危ないんです。

面接は「仲良くなる場」でもあるので、雑談のつもりで踏んでしまいます。

だから私は、先に一覧を作って、手元に置いておきました。覚えようとすると、忘れます。

なぜ、この線があるのか

採用は本人の適性と能力だけで判断することになっています。

家族のことも、出身地のことも、本人には選べないことです。
選べないことで判断されるのは、おかしい。そういう線です。

この一覧は、私が調べて作ったものです。採用選考で配慮すべき事項については、厚生労働省が「公正な採用選考の基本」として考え方を示しています。実際の運用は、必ず一次情報と社会保険労務士にご確認ください。私は社会保険労務士ではありません。

また、年齢を条件にすることにも法令上の制限があります。この点は求人原稿の記事に書きました。

評価シートに記入しながら話した

面接の前に、評価シートを1枚作りました。

6評価する項目(各5段階)—
  • 志望動機の明確さ
  • 技術力の見込み
  • 接客マインド
  • コミュニケーション能力
  • 通勤・勤務の現実性
  • 実際に会って話したいと思うか
3総合評価(どれか1つ)—
  • ぜひ会いたい(対面へ)
  • 条件付きで面談(シフト・距離などを相談)
  • 今回は見送り

このほかに自由記述があります。印象的だったこと/気になった点/後日のフォロー。

Zoomをつなぎながら、このシートに記入していました。

書きながらだと、話に集中できなくないですか。

そこは、いま思うと反省点です。

相手は気にしていなかったと思います。オンラインだと、こちらの手元は見えませんから。

でも、こっちが記入しながらでした。いま同じことをやるなら、文字起こしのツールを入れて、メモは取りません。

いまならこうする

面接中は、話を聞くことだけに使う。

記録は文字起こしのツールに任せて、評価シートは終わってから、記録を見ながら書く。

これは面接に限りません。手を動かしながら人の話を聞くと、どちらかが薄くなります。相手はそれを感じます。

録音・文字起こしをするときは、必ず先に断ってください。「記録のために文字起こしを使わせていただきますが、よろしいですか」の一言です。黙って録るのは、信頼の問題になります。

崩れていい。ただし戻れるように

時間割を作っておいて言うのも変ですが、そのとおりには進みません。

実際は、崩れましたか。

崩れる、というより、臨機応変に対応しました。

基本はこのとおりに進めます。でも相手が話しはじめたら、そこは止めません。

時間割の役割

そのとおりに進めるための表ではありません。

崩れたあと、戻ってくるための表です。
話が飛んでも「あと何を聞いていないか」がひと目で分かります。

これがないと、話が盛り上がったまま30分が終わります。そして電話を切ったあとに「条件の話をしていない」と気づきます。

マニュアルのとおりに読み上げる必要はありません。「これは聞きたい」と思ったことがあれば、その場で入れてください。型は、聞き忘れを防ぐためのものです。

1回では、見えなかったこと

ここは、うまくいかなかったところです。

親記事にも書きましたが、オンライン1回と技術チェック1回では、見えなかったものがあります。

2見えなかったことどうすべきだったか
  • 前職での勤怠 遅刻や欠勤の有無は、面接の1回では分かりません。これは聞いていいことです。能力の話ではなく、事実の確認です
  • 人柄 オンライン1回と技術チェック1回では、正直そこまで見えませんでした。もう1回、雑談だけの時間を取ればよかったと思っています

雑談だけの時間、というのは。

評価しない時間です。

面接だと分かっていると、相手も答えを作ります。それは当たり前です。私だってそうします。

だから、選考とは別に、お茶でも飲みながら話す時間があるといい。いま同じ採用をやるなら、そこを足します。

逆に言うと、30分の構成そのものは、いまでも変えるつもりはありません。足すのは回数のほうです。

採用が決まったあと ── 書類は11点になりました

最後に、面接のあとの話を少しだけ書きます。

採用が決まると、書類が要ります。うちの場合、結果として11点になりました。

先人を雇う時点で必要なもの4点
  • 雇用契約書(労働条件通知書) 正社員・契約社員・パートの3種類
  • 社会保険・雇用保険の手続き 期限があります
後あとから整えたもの8点
  • 就業規則 正社員・契約社員・パートの3種類
  • 賃金規程
  • 育児・介護休業規程
  • 労使協定 時間外・休日労働に関するもの、育児介護に関するもの

合計11点です。この数を、私は最初に想像できていませんでした。

開業のときは社員2名ですよね。なぜ、雇用形態を3種類も用意したんですか。

働き方を選べるようにしたかったからです。

この業界は、フルタイムで働ける人ばかりではありません。「正社員しかない」と決めると、応募できない人が出ます。

求人票にも、正社員・契約社員・パート・アルバイトと並べて書きました。受け皿を用意しておくと、応募の幅が変わります。

費用の話は、親記事に書いたとおりです。就業規則の見積が70万円で、一度申し込んで、そのあと相見積もりを取りました。

結果として、当初の6分の1以下になりました。金額の詳しい話は、初期費用の記事に書いています。

→ 士業の費用を見直した話初期費用の組み立て方
いま、どうしているか

税理士さんから社労士さんを紹介してもらいました。

そして会計ソフトと労務ソフトを連動させています。自分でも触るので、そこは非常に助かっています。

就業規則は、常時10人未満の事業場では作成・届出の義務がありません(労働基準法89条)。うちは作りましたが、開業前に大金をかけるところではないというのが私の実感です。一方で雇用契約書は、人を雇う時点で必ず要ります。ここは省けません。

必要な書類・届出は、事業の規模や形態によって異なります。実際の対応は、所轄の労働基準監督署・年金事務所、または社会保険労務士にご確認ください。

よくある質問

お店がまだないのですが、面接はどこですればいいですか?

オンラインで大丈夫です。うちは1回目をオンライン30分、2回目を時間貸しのシェアサロンで技術チェックにしました。相手も移動しなくて済むので、お互い気楽です。店ができたあとも、1回目はオンラインのまま残しました。

30分で、何をどの順番で聞けばいいですか?

5分ずつ6つに割ってください。アイスブレイク/志望動機/技術と接客/条件と通勤/サロン紹介/クロージング。前半15分が相手の話、後半15分がこちらの話です。先に店の説明をすると、相手の答えがそれに寄ってしまいます。

この時間割どおりに進みますか?

進みません。そして、進まなくていいです。時間割は「そのとおりやる表」ではなく「崩れたあと、戻ってくる表」です。話が飛んでも、聞いていないことがひと目で分かります。これがないと、盛り上がったまま終わって、条件の話を忘れます。

聞いてはいけないことは、何ですか?

家族構成/宗教・思想/病歴・障がい/出身地・本籍/年齢や性別への偏見。この5つです。「どこ出身ですか」は雑談で出やすいので、特に注意してください。覚えようとすると忘れるので、一覧を手元に置いておくことをおすすめします。詳しくは厚生労働省の「公正な採用選考」の考え方をご確認ください。

面接中にメモを取ってもいいですか?

取れますが、いま同じことをやるなら、私は取りません。文字起こしのツールに任せて、評価シートは終わってから書きます。手を動かしながら人の話を聞くと、どちらかが薄くなります。録音や文字起こしをするときは、必ず先に断ってください。

技術と人柄、どちらを優先すべきですか?

私は選べませんでした。両方見て決めています。ただ「開業直後は、教える余力がない」というのは事実でした。この話は親記事に書いています。技術か人柄かではなく、いまの自分に何ができるかで決まる部分があります。

前職の勤怠は、聞いていいんですか?

聞いていいことです。能力や属性の話ではなく、事実の確認だからです。うちは聞かなくて、あとで「聞いておけばよかった」と思いました。技術チェックの1回では見えません。

面接は何回すればいいですか?

うちはオンライン1回+技術チェック1回でした。いま同じ採用をやるなら、もう1回、雑談だけの時間を足します。評価しない時間です。面接だと分かっていると、相手も答えを作ります。それは当たり前のことです。

採用が決まったら、どんな書類が要りますか?

うちは結果として11点になりました。先に要るのは雇用契約書と、社会保険・雇用保険の手続き。就業規則や各種規程は、あとから整えました。常時10人未満の事業場では就業規則の作成・届出の義務はありません(労基法89条)。ただし雇用契約書は省けません。

雇用形態は、1つに絞ってはいけませんか?

絞ってもいいですが、うちは3種類用意しました。フルタイムで働ける人ばかりではないからです。「正社員しかない」と決めると、応募できない人が出ます。受け皿を用意しておくと、応募の幅が変わります。

まとめ

持ち帰ってほしいこと

1. 店がなくても面接はできる。オンライン30分+技術チェック

2. 30分は5分ずつ6つに割る。前半が相手、後半がこちら

3. 店の説明を先にすると、相手の答えがそれに寄る

4. 通勤は決めつけない。心配を示して、判断は相手に渡す

5. ゴールは決めることではなく「もっと話を聞いてみたい」と思ってもらうこと

6. 聞いてはいけない質問が5つある。一覧を手元に置く

7. 面接中にメモは取らない。記録はツールに任せる(断ってから)

8. 時間割は崩れたあと、戻ってくるための表

9. 前職の勤怠は聞いていい。1回では見えない

10. 採用のあと、書類は11点。先に要るのは雇用契約書と社会保険の手続き

相手も、こちらを選んでいる。そこが抜けていました。

そうなんです。面接は、試験ではありません。

まだ何もない店に、時間を作って話を聞きに来てくれた人です。その30分をどう使うかで、次に会えるかが決まります。

次は集客の話を書きますね。記事3で「看板が出せない」と書いた、あの続きです。

↑ この記事の親にもどるまつげサロンの求人|何もない状態で、何を見せるか

この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業したときに作成した面接構成・評価シートと、そのときの採用の記録をもとに書いています。掲載している質問例・評価項目は当社が作成したもので、応募者の回答や評価の内容は一切含んでいません。採用選考で配慮すべき事項については厚生労働省が「公正な採用選考の基本」として考え方を示しています。募集・採用における年齢の取り扱い、労働条件の明示、就業規則や各種規程の要否は、事業の規模や形態、地域によって異なります。実際の対応は所轄の労働基準監督署・年金事務所、または社会保険労務士・弁護士にご確認ください。私は社会保険労務士ではありません。

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阿部弘康

阿部 弘康

株式会社CALM TOKYO 代表取締役
恵比寿でまつげパーマ&眉毛アイブロウサロンを運営

美容業界18年。化粧品メーカーの営業、美容サロン専門の広告会社を経て、サロン専門のコンサルタントとして独立しました。集客に関する書籍を2冊出しています。
2025年、恵比寿に自分たちの店を開きました。技術は、表参道で17年やってきたアイリストの妻が。経営とマーケティングは私が見ています。人の店を見てきた側と、自分で開いた側。その両方から書いています。

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