見積書が出てきたとき、最初にどこを見ましたか。
正直に言います。合計金額です。
あ、やっぱりそこなんですね。
私も絶対そうすると思います。
そこは、それでいいと思っています。
問題は、そのあと何をするかです。
合計金額を見て「高い」で終わると、あとは値引き交渉しか残りません。
この記事の内容
きれいごとを書いても仕方がないので、そのまま書きます。私は合計金額を最初に見ました。
ただ、そこで終わりませんでした。合計を見たあとに、中身に入りました。
「高い」「安い」しか言えません。残るのは値引き交渉だけです。
「これは要らない」が言えます。金額ではなく、内容の話になります。
値引きは、業者さんの利益を削ります。
削る(内容を減らす)は、こちらが要らないものをやめるだけです。関係が悪くなりません。
見積書には、「〇〇工事 一式」とまとめて書かれた行が出てきます。
これ、聞いていいものなんですか。
疑っているみたいで、失礼にならないか気になります。
もちろん聞きました。
私は業者さんのことを信頼していました。それでも、一個一個きっちり話しています。
納得するまで話しました。
信頼していることと、中身を聞くことは、別です。
むしろ聞かないまま進めるほうが、あとで関係が悪くなります。
親記事に書いたとおり、うちは現地調査から引渡しまでのあいだに、何度も会っています。1回あたり1〜2時間。その時間の中身が、この「一個一個」です。
→ 打ち合わせの回数と中身はこちら打ち合わせは6回。ここが全部です「一式」が悪いわけではありません。細かく書くと、かえって読みにくくなる項目もあります。大事なのは「その一式に、何が入っていて、何が入っていないか」を言葉で聞いておくことです。入っていないものは、あとから追加費用になります。
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
削るものを探す前に、「これは絶対に削らない」を先に決める。
私が最初に決めていたのは、これです。
チェアは、絶対に削りません。
お客様に座っていただくところなので、絶対にくつろいでいただきたい。
だから納得したものを4つ揃えました。
予算が足りなくなると、判断がにぶるからです。
「あと20万削らないと」となったとき、目の前にある大きい金額から手をつけたくなります。そこで守るものが決まっていないと、いちばん大事なところを削ります。
親記事に書いた「通る場所は削れる。止まる場所は削れない」は、この判断の基準です。基準を先に持っておくと、削るときに迷いません。
削ったものの1つ目は仕切りです。全部を壁で作らず、一部をカーテンにしました。
正直に言うと、本当はカーテンにするかどうか迷いました。
壁のほうが個室らしくなるので。
でも、1つはカーテンにしてよかったと思っています。金額の話ではなく、使ってみてです。
スタッフがいたとき、施術の勉強会がやりやすかった。
あ……開けられるからですね。
そうです。壁だと、開きません。
営業のときは閉じて半個室。勉強会のときは開けて、みんなで見られる1つの空間になる。
これは、作るときには考えていませんでした。結果的にそうなった、というのが正直なところです。
個室らしくなります。ただし、あとから開けられません。金額も上がります。
安く済みます。そして使い方を、あとから変えられます。
「安いから」で選んだものが、結果的に運用で効くことがあります。逆もあります。削るときに「これを削ると、あとで何ができなくなるか」を1回だけ考えてみてください。カーテンの場合は、できなくなるどころか、できることが増えました。
2つ目は家具です。ここは、はっきり削りました。
特注ではなく、既製品にした。
ニトリなどの家具屋さんでも買っています。
受付のカウンターは造作せず、既製品です。図面にも「既製品」と書いてあります。
それ、安っぽくなりませんか。
場所によります。
受付は通る場所です。お客様は立ち止まりますが、長くはいません。
逆に、パウダールームの化粧台は造作にしました。既製品ではしょぼいと思ったからです。
同じ「家具」でも、置く場所で判断が変わります。
造作にする = その場所が、店のコンセプトを見せる場所かどうか
それ以外は、既製品で成立します。
ここから、工事がはじまってからの話です。
着工してからは、もう戻せません。
だから打ち合わせで決めきる必要があります。
正確に言うと、戻せないわけではありません。戻すとお金と時間がかかるということです。そしてその追加費用は、こちらの負担になります。
だから「決めていないことを、現場に持ち込まない」のが大事です。
決めていないことは、現場で誰かが決めることになります。それはたいてい、こちらの意図とは違う形になります。
私は工事中に、現場を見に行きました。
チェックのためですか?
正直に言うと、違います。
「工事って、どうやっているのかな?」と思って見に行きました。
仕切りが作られていく様子。
壊すものは壊して、新しく作っていく様子。
普通では見ることができないものが見られました。すごく良い体験でした。
チェックのため、ではないんですね。
結果として、チェックにもなります。
でも「見張りに行く」つもりで行くと、たぶん現場の空気が悪くなります。
「見せてもらいに行く」でいいと思っています。そのほうが、いろいろ教えてもらえます。
自分の店ができていく過程を見られるのは、一度きりです。2店舗目を出しても、1店舗目の工事はもう見られません。時間を作って、1回は行ってください。
ここも正直に書きます。
引渡しのときに何を確認したか、実はあまり覚えていません。
チェックリストのようなものがあったかどうかも、はっきりしません。
それ、大丈夫だったんですか。
覚えているのは、そのあとのほうです。
プレオープンのときに「あれがない、これがない」となって、100均やスーパーに走りました。
いま思い出しても、あれは慌てました。
足りないものは、引渡しでは分かりません。
使ってみて、初めて分かります。だからプレオープンの期間を取ってください。
うちはプレオープンを9日間とりました。この期間があったから、100均に走る時間がありました。いきなり本オープンにしていたら、営業しながら走ることになっていました。
→ 開業直前にやることはこちらまつげサロンの店舗準備|開業前、最後に残る10項目うちは追加費用も、工期の遅れも出ませんでした。
ただ、これを「うまくいきました」で終わらせても役に立たないので、再現できることと、そうでないことを分けて書きます。
念入りな話し合い
やったこと一個一個きっちり話して、納得するまで話した。再現できる
効いた理由決めていないことが、現場に残らなかった。だから現場で判断される場面がなかった
搬入をギリギリにしない
やったこと「搬入は遅れるもの」という前提で、きちんと確認して、日程に余裕を持たせた。再現できる
効いた理由1つ遅れても、後ろが詰まらない。ここがポイントだと思っています
業者さんとの関係
前提前職の仲間に頼んでいる。相見積もりは取っていない
正直なところここは再現できません。だから親記事では「3社は相見積もりを」と書きました
1. 納得するまで話す
2. 搬入は遅れる前提で、ギリギリにしない
最後に、いまの考えを書きます。
内装は低予算。できるだけ工事を最小限にして、予算ができたら増やしていく。
最小限の構成は、こうイメージしています。
1店舗目より、ずいぶん小さくするんですね。
小さくします。
工事にかけたお金は、戻ってきません。でも、あとから足すことはできます。
売上が上がって、利益が出てから作り込む。順番はこちらでした。
見積書は、どこから見ればいいですか?
合計金額からで大丈夫です。私もそうでした。問題はそのあと中身に入るかどうかです。合計だけ見て「高い」で終わると、残るのは値引き交渉だけになります。中身に入ると「これは要らない」が言えます。値引きは業者さんの利益を削りますが、削る(内容を減らす)はこちらが要らないものをやめるだけです。
「一式」と書いてある行は、聞いてもいいですか?
聞いてください。私は業者さんを信頼していましたが、それでも一個一個きっちり話しました。信頼していることと、中身を聞くことは別です。聞かないまま進めるほうが、あとで関係が悪くなります。大事なのは「その一式に何が入っていて、何が入っていないか」です。入っていないものは追加費用になります。
削る順番は、どう決めればいいですか?
削るものを探す前に、「絶対に削らないもの」を先に決めてください。私はリクライニングチェアとパウダールームの化粧台でした。予算が足りなくなると判断がにぶって、大きい金額から手をつけたくなります。守るものが決まっていないと、いちばん大事なところを削ります。
仕切りは、壁とカーテンのどちらがいいですか?
うちは一部をカーテンにしました。金額のためでしたが、使ってみてよかったのは別の理由です。スタッフがいたとき、施術の勉強会がやりやすかった。壁だと開きません。営業中は閉じて半個室、勉強会では開けて1つの空間。削るときに「これを削ると、あとで何ができなくなるか」を1回考えてみてください。
家具は、特注にしなくていいですか?
場所によります。うちは受付のカウンターを既製品にしました。ニトリなどでも買っています。逆にパウダールームの化粧台は造作です。造作にするのは、その場所が店のコンセプトを見せる場所かどうか。それ以外は既製品で成立します。
工事中は、見に行ったほうがいいですか?
行ってください。ただし「見張りに行く」のではなく「見せてもらいに行く」くらいがいいと思っています。私は「工事ってどうやっているのかな」と思って行きました。仕切りができていく様子、壊して新しく作る様子。普通では見られないものが見られて、すごく良い体験でした。自分の店ができていく過程は、一度きりです。
引渡しのときは、何を確認すればいいですか?
正直に言うと、私はあまり覚えていません。チェックリストがあったかどうかもはっきりしません。ただ足りないものは、引渡しでは分かりません。使ってみて初めて分かります。うちはプレオープンのときに「あれがない、これがない」で100均やスーパーに走りました。だからプレオープンの期間を取ってください。うちは9日間です。
追加費用や工期の遅れは、どうすれば防げますか?
うちは出ませんでした。理由は2つです。1つは、納得するまで話したこと。決めていないことが現場に残らないので、現場で判断される場面がありません。もう1つは、搬入をギリギリにしないこと。「搬入は遅れるもの」という前提で日程に余裕を持たせます。この2つは真似できます。なお、うちが前職の仲間に頼んでいる点は再現できないので、親記事では「3社は相見積もりを」と書いています。
2店舗目を出すなら、内装はどうしますか?
低予算にします。できるだけ工事を最小限にして、予算ができたら増やしていく。最小限はカウンター・椅子・リクライニングチェアのイメージです。工事にかけたお金は戻ってきませんが、あとから足すことはできます。売上が上がって利益が出てから作り込む。順番はこちらでした。
1. 見積書は合計から見ていい。そのあと中身に入るかどうかが分かれ目
2. 値引きは相手の利益を削る。削る(内容を減らす)は、要らないものをやめるだけ
3. 「一式」は聞く。信頼していることと、中身を聞くことは別
4. 削る前に、削らないものを決める。うちはチェアと化粧台
5. 削るときは「これを削ると、あとで何ができなくなるか」を1回考える
6. カーテンの仕切りは、あとから使い方を変えられる(うちは勉強会で効いた)
7. 造作にするのはコンセプトを見せる場所だけ。ほかは既製品でいい
8. 工事中は「見せてもらいに」行く。見張りに行かない
9. 足りないものは、使ってみないと分からない。プレオープンの期間を取る
10. 遅れを防ぐのは「納得するまで話す」と「搬入をギリギリにしない」の2つ
削らないものを先に決める、いまやります。
私は、たぶんベッドです。
それでいいと思います。1つでも2つでもいい。
紙に書いて、見積書の横に置いてください。削る話になったときに、そこだけは見えている状態にしておく。
次は、そこに入れる器具の話です。実際の見積書を、そのまま出しています。
この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業した経験と、そのときに受け取った見積書・図面をもとに書いています。工事の内容・金額・工期は、物件と施工内容によって大きく変わります。見積の項目や区分、追加費用の考え方は業者によって異なりますので、必ず施工業者にご確認ください。私は建築士でも施工の専門家でもありません。
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