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見積書の削り方と
工事がはじまってから

削る前に、削らないものを決めます。
そして着工したら、もう戻せません。

↑ この記事の親まつげサロンの内装|削るところと、削らないところ
アイリストさん

見積書が出てきたとき、最初にどこを見ましたか。

阿部

正直に言います。合計金額です。

あ、やっぱりそこなんですね。

私も絶対そうすると思います。

そこは、それでいいと思っています。

問題は、そのあと何をするかです。

合計金額を見て「高い」で終わると、あとは値引き交渉しか残りません。

この記事の内容

  1. 見積書は、合計金額から見ました
  2. 「一式」と書いてある行を、全部ひらく
  3. 削る前に、削らないものを決める
  4. 削ったもの① 仕切り ── カーテンにしてよかった
  5. 削ったもの② 家具 ── 特注でなくていい
  6. 着工したら、もう戻せません
  7. 工事中に見に行って、分かったこと
  8. 引渡しのチェックリストは、ありませんでした
  9. 遅れなかった理由を、2つに分けます
  10. 次にやるなら、内装は低予算で
  11. よくある質問
  12. まとめ

見積書は、合計金額から見ました

きれいごとを書いても仕方がないので、そのまま書きます。私は合計金額を最初に見ました。

ただ、そこで終わりませんでした。合計を見たあとに、中身に入りました。

合計だけ見て終わる

「高い」「安い」しか言えません。残るのは値引き交渉だけです。

中身に入る

「これは要らない」が言えます。金額ではなく、内容の話になります。

この違いが大きい

値引きは、業者さんの利益を削ります。
削る(内容を減らす)は、こちらが要らないものをやめるだけです。関係が悪くなりません。

「一式」と書いてある行を、全部ひらく

見積書には、「〇〇工事 一式」とまとめて書かれた行が出てきます。

これ、聞いていいものなんですか。

疑っているみたいで、失礼にならないか気になります。

もちろん聞きました。

私は業者さんのことを信頼していました。それでも、一個一個きっちり話しています。

納得するまで話しました。

ここが誤解されやすいところ

信頼していることと、中身を聞くことは、別です。
むしろ聞かないまま進めるほうが、あとで関係が悪くなります。

親記事に書いたとおり、うちは現地調査から引渡しまでのあいだに、何度も会っています。1回あたり1〜2時間。その時間の中身が、この「一個一個」です。

→ 打ち合わせの回数と中身はこちら打ち合わせは6回。ここが全部です

「一式」が悪いわけではありません。細かく書くと、かえって読みにくくなる項目もあります。大事なのは「その一式に、何が入っていて、何が入っていないか」を言葉で聞いておくことです。入っていないものは、あとから追加費用になります。

削る前に、削らないものを決める

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

順番

削るものを探す前に、「これは絶対に削らない」を先に決める。

私が最初に決めていたのは、これです。

残削らないと決めていたもの2つ
  • リクライニングチェア(4脚) お客様が座るところ
  • パウダールームの化粧台 お客様が最後に自分の顔を見る場所

チェアは、絶対に削りません。

お客様に座っていただくところなので、絶対にくつろいでいただきたい。

だから納得したものを4つ揃えました。

なぜ、先に決めるのか

予算が足りなくなると、判断がにぶるからです。
「あと20万削らないと」となったとき、目の前にある大きい金額から手をつけたくなります。そこで守るものが決まっていないと、いちばん大事なところを削ります。

親記事に書いた「通る場所は削れる。止まる場所は削れない」は、この判断の基準です。基準を先に持っておくと、削るときに迷いません。

削ったもの① 仕切り ── カーテンにしてよかった

削ったものの1つ目は仕切りです。全部を壁で作らず、一部をカーテンにしました。

正直に言うと、本当はカーテンにするかどうか迷いました。

壁のほうが個室らしくなるので。

でも、1つはカーテンにしてよかったと思っています。金額の話ではなく、使ってみてです。

カーテンでよかった理由

スタッフがいたとき、施術の勉強会がやりやすかった。

あ……開けられるからですね。

そうです。壁だと、開きません。

営業のときは閉じて半個室。勉強会のときは開けて、みんなで見られる1つの空間になる。

これは、作るときには考えていませんでした。結果的にそうなった、というのが正直なところです。

壁で仕切る

個室らしくなります。ただし、あとから開けられません。金額も上がります。

カーテンで仕切る

安く済みます。そして使い方を、あとから変えられます。

「安いから」で選んだものが、結果的に運用で効くことがあります。逆もあります。削るときに「これを削ると、あとで何ができなくなるか」を1回だけ考えてみてください。カーテンの場合は、できなくなるどころか、できることが増えました。

削ったもの② 家具 ── 特注でなくていい

2つ目は家具です。ここは、はっきり削りました。

どう削ったか

特注ではなく、既製品にした。
ニトリなどの家具屋さんでも買っています。

受付のカウンターは造作せず、既製品です。図面にも「既製品」と書いてあります。

それ、安っぽくなりませんか。

場所によります。

受付は通る場所です。お客様は立ち止まりますが、長くはいません。

逆に、パウダールームの化粧台は造作にしました。既製品ではしょぼいと思ったからです。

同じ「家具」でも、置く場所で判断が変わります。

分け方

造作にする = その場所が、店のコンセプトを見せる場所かどうか
それ以外は、既製品で成立します。

着工したら、もう戻せません

ここから、工事がはじまってからの話です。

前提

着工してからは、もう戻せません。
だから打ち合わせで決めきる必要があります。

正確に言うと、戻せないわけではありません。戻すとお金と時間がかかるということです。そしてその追加費用は、こちらの負担になります。

だから「決めていないことを、現場に持ち込まない」のが大事です。

決めていないことは、現場で誰かが決めることになります。それはたいてい、こちらの意図とは違う形になります。

工事中に見に行って、分かったこと

私は工事中に、現場を見に行きました。

チェックのためですか?

正直に言うと、違います。

「工事って、どうやっているのかな?」と思って見に行きました。

工事中の受付まわり。仕切り壁ができあがりつつある
工事中です。受付の仕切りができていくところ。床は全面養生、天井の配線はまだむき出しです。
見て、何が分かったか

仕切りが作られていく様子。
壊すものは壊して、新しく作っていく様子。
普通では見ることができないものが見られました。すごく良い体験でした。

チェックのため、ではないんですね。

結果として、チェックにもなります。

でも「見張りに行く」つもりで行くと、たぶん現場の空気が悪くなります。

「見せてもらいに行く」でいいと思っています。そのほうが、いろいろ教えてもらえます。

自分の店ができていく過程を見られるのは、一度きりです。2店舗目を出しても、1店舗目の工事はもう見られません。時間を作って、1回は行ってください。

引渡しのチェックリストは、ありませんでした

ここも正直に書きます。

引渡しのときに何を確認したか、実はあまり覚えていません。

チェックリストのようなものがあったかどうかも、はっきりしません。

それ、大丈夫だったんですか。

覚えているのは、そのあとのほうです。

プレオープンのときに「あれがない、これがない」となって、100均やスーパーに走りました。

いま思い出しても、あれは慌てました。

ここから言えること

足りないものは、引渡しでは分かりません。
使ってみて、初めて分かります。だからプレオープンの期間を取ってください。

うちはプレオープンを9日間とりました。この期間があったから、100均に走る時間がありました。いきなり本オープンにしていたら、営業しながら走ることになっていました。

→ 開業直前にやることはこちらまつげサロンの店舗準備|開業前、最後に残る10項目

遅れなかった理由を、2つに分けます

うちは追加費用も、工期の遅れも出ませんでした。

ただ、これを「うまくいきました」で終わらせても役に立たないので、再現できることと、そうでないことを分けて書きます。

念入りな話し合い

やったこと一個一個きっちり話して、納得するまで話した。再現できる

効いた理由決めていないことが、現場に残らなかった。だから現場で判断される場面がなかった

搬入をギリギリにしない

やったこと「搬入は遅れるもの」という前提で、きちんと確認して、日程に余裕を持たせた。再現できる

効いた理由1つ遅れても、後ろが詰まらない。ここがポイントだと思っています

業者さんとの関係

前提前職の仲間に頼んでいる。相見積もりは取っていない

正直なところここは再現できません。だから親記事では「3社は相見積もりを」と書きました

2つだけ、真似してください

1. 納得するまで話す
2. 搬入は遅れる前提で、ギリギリにしない

次にやるなら、内装は低予算で

最後に、いまの考えを書きます。

次の店を作るなら

内装は低予算。できるだけ工事を最小限にして、予算ができたら増やしていく。

最小限の構成は、こうイメージしています。

最最小限で置くもの3つ
  • カウンター
  • 椅子
  • リクライニングチェア ここだけは、やはり削らない

1店舗目より、ずいぶん小さくするんですね。

小さくします。

工事にかけたお金は、戻ってきません。でも、あとから足すことはできます。

売上が上がって、利益が出てから作り込む。順番はこちらでした。

→ 家賃も同じ考え方ですいま、もう1店舗出すなら

よくある質問

見積書は、どこから見ればいいですか?

合計金額からで大丈夫です。私もそうでした。問題はそのあと中身に入るかどうかです。合計だけ見て「高い」で終わると、残るのは値引き交渉だけになります。中身に入ると「これは要らない」が言えます。値引きは業者さんの利益を削りますが、削る(内容を減らす)はこちらが要らないものをやめるだけです。

「一式」と書いてある行は、聞いてもいいですか?

聞いてください。私は業者さんを信頼していましたが、それでも一個一個きっちり話しました。信頼していることと、中身を聞くことは別です。聞かないまま進めるほうが、あとで関係が悪くなります。大事なのは「その一式に何が入っていて、何が入っていないか」です。入っていないものは追加費用になります。

削る順番は、どう決めればいいですか?

削るものを探す前に、「絶対に削らないもの」を先に決めてください。私はリクライニングチェアとパウダールームの化粧台でした。予算が足りなくなると判断がにぶって、大きい金額から手をつけたくなります。守るものが決まっていないと、いちばん大事なところを削ります。

仕切りは、壁とカーテンのどちらがいいですか?

うちは一部をカーテンにしました。金額のためでしたが、使ってみてよかったのは別の理由です。スタッフがいたとき、施術の勉強会がやりやすかった。壁だと開きません。営業中は閉じて半個室、勉強会では開けて1つの空間。削るときに「これを削ると、あとで何ができなくなるか」を1回考えてみてください。

家具は、特注にしなくていいですか?

場所によります。うちは受付のカウンターを既製品にしました。ニトリなどでも買っています。逆にパウダールームの化粧台は造作です。造作にするのは、その場所が店のコンセプトを見せる場所かどうか。それ以外は既製品で成立します。

工事中は、見に行ったほうがいいですか?

行ってください。ただし「見張りに行く」のではなく「見せてもらいに行く」くらいがいいと思っています。私は「工事ってどうやっているのかな」と思って行きました。仕切りができていく様子、壊して新しく作る様子。普通では見られないものが見られて、すごく良い体験でした。自分の店ができていく過程は、一度きりです。

引渡しのときは、何を確認すればいいですか?

正直に言うと、私はあまり覚えていません。チェックリストがあったかどうかもはっきりしません。ただ足りないものは、引渡しでは分かりません。使ってみて初めて分かります。うちはプレオープンのときに「あれがない、これがない」で100均やスーパーに走りました。だからプレオープンの期間を取ってください。うちは9日間です。

追加費用や工期の遅れは、どうすれば防げますか?

うちは出ませんでした。理由は2つです。1つは、納得するまで話したこと。決めていないことが現場に残らないので、現場で判断される場面がありません。もう1つは、搬入をギリギリにしないこと。「搬入は遅れるもの」という前提で日程に余裕を持たせます。この2つは真似できます。なお、うちが前職の仲間に頼んでいる点は再現できないので、親記事では「3社は相見積もりを」と書いています。

2店舗目を出すなら、内装はどうしますか?

低予算にします。できるだけ工事を最小限にして、予算ができたら増やしていく。最小限はカウンター・椅子・リクライニングチェアのイメージです。工事にかけたお金は戻ってきませんが、あとから足すことはできます。売上が上がって利益が出てから作り込む。順番はこちらでした。

まとめ

持ち帰ってほしいこと

1. 見積書は合計から見ていい。そのあと中身に入るかどうかが分かれ目

2. 値引きは相手の利益を削る。削る(内容を減らす)は、要らないものをやめるだけ

3. 「一式」は聞く。信頼していることと、中身を聞くことは別

4. 削る前に、削らないものを決める。うちはチェアと化粧台

5. 削るときは「これを削ると、あとで何ができなくなるか」を1回考える

6. カーテンの仕切りは、あとから使い方を変えられる(うちは勉強会で効いた)

7. 造作にするのはコンセプトを見せる場所だけ。ほかは既製品でいい

8. 工事中は「見せてもらいに」行く。見張りに行かない

9. 足りないものは、使ってみないと分からない。プレオープンの期間を取る

10. 遅れを防ぐのは「納得するまで話す」と「搬入をギリギリにしない」の2つ

削らないものを先に決める、いまやります。

私は、たぶんベッドです。

それでいいと思います。1つでも2つでもいい。

紙に書いて、見積書の横に置いてください。削る話になったときに、そこだけは見えている状態にしておく。

次は、そこに入れる器具の話です。実際の見積書を、そのまま出しています。

↑ この記事の親にもどるまつげサロンの内装|削るところと、削らないところ

この記事は、私自身が2025年に恵比寿で1店舗を開業した経験と、そのときに受け取った見積書・図面をもとに書いています。工事の内容・金額・工期は、物件と施工内容によって大きく変わります。見積の項目や区分、追加費用の考え方は業者によって異なりますので、必ず施工業者にご確認ください。私は建築士でも施工の専門家でもありません。

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阿部弘康

阿部 弘康

株式会社CALM TOKYO 代表取締役
恵比寿でまつげパーマ&眉毛アイブロウサロンを運営

美容業界18年。化粧品メーカーの営業、美容サロン専門の広告会社を経て、サロン専門のコンサルタントとして独立しました。集客に関する書籍を2冊出しています。
2025年、恵比寿に自分たちの店を開きました。技術は、表参道で17年やってきたアイリストの妻が。経営とマーケティングは私が見ています。人の店を見てきた側と、自分で開いた側。その両方から書いています。

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